
画像は『時をかける少女 ニュープライス版』DVD(KADOKAWA) (C)「時をかける少女」製作委員会2006
【画像】え、「もう一人の主人公?」「かわいい」 「魔女おばさん」と同名だった『時かけ』原作の主人公を知る
原作ファンなら絶対知っている名前
細田守監督の名作アニメ『時をかける少女』には、主人公の「紺野真琴(CV:仲里依紗)」とは別に、物語を語るうえで欠かせない人物が登場します。それが、真琴の叔母にあたる「芳山和子(CV:原沙知絵)」です。筒井康隆さんの原作小説や、原田知世さん主演の実写映画に触れたことがある人にとっては、聞きなじみのある名前ではないでしょうか?
芳山和子は、博物館で絵画修復の仕事に携わる独身女性で、浮世離れした不思議な雰囲気から「魔女おばさん」と呼ばれています。真琴にとっては良き相談相手であり、困ったときに最初に頼る存在として描かれていました。
例えば真琴が不思議な力を相談した場面では、タイムリープの可能性をさりげなく示し、彼女の体験が思い込みではないことを示唆しています。また千昭のことで思い悩む真琴に対しては、「待ち合わせに遅れてきた人がいたら、走って迎えに行くのがあなたでしょ」と背中を押し、前へ進むきっかけを与えていました。
出番こそ多いわけではありませんが、物語の方向性を決定付ける重要な役割を担っており、その存在感は決して小さくありません。
そんな魔女おばさんは、実は原作小説の主人公と同じ名前です。作中で同一人物かどうかは明言されていませんが、彼女のセリフや細やかな描写には、原作を思わせる要素がいくつも見られます。
分かりやすいのが、魔女おばさんの部屋に置いてあった昔の写真と、その側に飾られているラベンダーです。写真には角川文庫版『時をかける少女<新装版>』(著者:筒井康隆、イラスト:貞本義行)の表紙に描かれた和子とそっくりの少女が写っており、両脇には原作小説に登場する「深町一夫」と「浅倉吾朗」と思わしき男子が並んでいます。
一夫は和子の初恋の相手であり、正体は西暦2660年からやって来た未来人でした。未来では植物が死滅しており、一夫はラベンダーを採集するため過去へとやってきたのです。最終的にふたりは、真琴と千昭のように離れ離れとなりますが、それでも別れ際には再会を誓い、アニメ本編でも魔女おばさんが「いつか必ず戻ってくると言っていた」と約束を匂わせています。
とはいえ原作小説と比べると、いくつかの食い違いが見られるのも事実です。例えば小説ではタイムリープの秘密を守るために一夫の記憶が消されてしまいますが、魔女おばさんはタイムリープや彼の存在を覚えているような印象を受けます。また原作の和子は中学3年生だったのに対し、アニメ版では「高校のとき初めて人を好きになった」と語っており、設定にわずかなズレが見られるのです。
こうした点を踏まえると、魔女おばさんは原作と完全に同一人物というより、「パラレルワールドの芳山和子」と捉えるほうが自然なのかもしれません。制作側の遊び心として原作の要素を重ねた存在で、物語上は独立した人物として見るとしっくりきます。
ちなみに魔女おばさんが、タイムリープや一夫のことを覚えている理由は、アニメ映画のコミカライズ版『時をかける少女 -TOKIKAKE-』(マンガ:琴音らんまる、原作:筒井康隆、キャラクター原案:貞本義行、原案:「時をかける少女」製作委員会)で補完されています。彼女はラベンダーの香りで記憶を取り戻し、タイムリープも1回分だけ復活していたという内容です。
それでも魔女おばさんは、「この瞬間が一番幸せ」という一夫の思いを大切にし、タイムリープすることを選びませんでした。そんな背景を知ると、彼女だけでなく、物語そのものもよりいとおしく感じられるはずです。2025年11月28日の「金曜ロードショー」で放送される際には、ぜひ彼女の言動にも注目してみてください。
