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「絶対に勝てる自信もあった」日本代表、強豪フィジー相手に見せた超速ラグビーの進化 27-33で惜敗も…悔しさ滲む敗戦に手応え

「絶対に勝てる自信もあった」日本代表、強豪フィジー相手に見せた超速ラグビーの進化 27-33で惜敗も…悔しさ滲む敗戦に手応え

口惜しい、と感じられるようになった。

 ラグビー日本代表は、環太平洋諸国、北米勢とぶつかるパシフィック・ネーションズカップを2大会連続の準優勝で終えた。

 アメリカのソルトレイクシティで現地時間9月20日、決勝に臨み、戦前の世界ランクで4つ上回る9位にあたるフィジー代表に27―33で惜敗した。3連覇を許した。
 
 大阪で開かれた前年のファイナルでは、同カードを17―41で落としていた。中盤以降に突き放された。

 当時、約9年ぶりに復帰したてだったエディー・ジョーンズヘッドコーチは「(強豪相手に)長時間ハードワークするレベルには達していません。本日は実力が不足していた」。一部の主力選手も、地力の差を認めた。

 一方、今度のゲームでは、一時10―33と差をつけられながらも終盤に接近した。劣勢時は大きく抜かれた後の必死の戻りがあり、追い上げる折は組織的なボール保持で向こうを反則禍に陥らせた。「長時間ハードワーク」の領域で変化を示したのだ。

 そもそもこの80分では、準決勝までの主要先発陣のうち4名を欠いていた。なかにはフランカーとして衝突局面を支えたベン・ガンター、攻守両面で軸をなすセンターのディラン・ライリーといった主軸が含まれていた。

 さながらピンチだったにもかかわらず、今年代表デビューの国内組らが爪痕を残した。指揮官は「身体能力を見せつけられたフィジー代表に後半、対応した。きつい負けではあるが成長が見られた」と強調した。

 何よりずっとフッカーで先発の江良颯が、充実していたからこその無念さをにじませた。潔く「実力」の差を受け入れるのは終わった。

「皆で誇りを持ってハードな練習をしてきました。絶対に勝てる自信もありました。悔しさは大きいです」

 今度のコンペティションは、一部の国にとり2027年のワールドカップ(W杯)オーストラリア大会予選を兼ねていた。すでに出場を決めている日本代表にとっても、今年12月にある大会の組み合わせ抽選を優位に運ぶべく世界ランクを上げたいところだった。

 この重圧と対峙したのは、若いスコッドだった。

 7月の対ウェールズ代表2連戦でフランカーとしてタックルし続けた36歳のリーチ マイケル主将は、個人的事情で未招集だった。8強入りした2019年のW杯日本大会組はゼロで、23年のW杯フランス大会に出た齋藤直人も欧州挑戦のため不参加である。

 ジョーンズは「スピードデイ」「フィジカルデー」など日ごとにテーマを決めたハードなセッションを課しながら、若年層が主体的になるのを促した。昨年からナショナルチームにはいったスクラムハーフの藤原忍は、開幕前に証言した。

「エディーさんには『一人ひとりがリーダーだと思って引っ張っていけ』と言われます」
  問題点を浮き彫りにして、つぶしてゆく作業を重ねた。

 8月30日に仙台でカナダ代表を57―15で、敵地のサクラメントでアメリカ代表を47―21で下してプールフェーズを首位通過するなか、守る時に所定の位置より前でプレーするオフサイドのペナルティーがかさんでいた。

 スクラムハーフの福田健太曰く、ゲームを終えるごとに平時より「半歩下がる」の意識を共有。実力者とのトーナメント戦では、改善傾向が見られた。最後の2戦は反則数をひと桁に抑えた。
  守りといえば、決勝戦ではトライラインの手前での粘りが冴えた。これも、バトルしながら伸びた証だった。準決勝までは、むしろこのエリアであっさりスコアされることも多かったのだ。プロップとして好走連発の竹内柊平は、こう誓っていた。

「自分も含めゴール前でもっとハングリーにならなきゃいけない。相手よりハードワークして、相手の集中が切れるまでフィジカリティで止めていく。それが決勝戦でのポイントになる」

 現体制の『超速ラグビー』というコンセプトを支えるハイテンポな連続攻撃へも、彩り、抑揚をつけられた。

 一定方向へ一気呵成に走り込む基本形のほか、狭いエリアで左右にフェーズを重ねるピストンと呼ばれる動きを導入。もともとキックと、それを追う動きも整備しつつあったため、デンバーで14日にあった準決勝では、トンガ代表のせり上がるタックラーの背後へ鋭い弾道を通し続けた。好位置での攻めがしやすくなり、62―24で快勝した。

 スタンドオフの李承信は、集団としての結束力に手応えを掴んだ。

「プランが明確になっている。自分たちの強みが何で、何がジャパンラグビーなのかを理解した選手が増えている」

 ゴールキックの成功率や巧みなパスが冴えた李、23歳にして共同主将を任されロックとして高低の激しいタックル、ビッグゲインを披露したワーナー・ディアンズら、フィールド内の軸も定まってきた。

 一方でアタックし続けるための接点のサポート、列強国が身長差を活かす高い弾道のキックの競り合いといった検討事案もある。

 フランス大会組でウイングの長田智希は、フィジー代表とぶつかった直後にこう述べた。

「どの相手にも自分たちの求める『超速ラグビー』にチャレンジする。通用する部分が見えたのは収穫です。勝てなかったのは悔しいですし、そこを求めないといけないですけど、(実力者に)あと一歩のところまで行けた。これくらいの差をどの試合でも継続することが、僕たちの成長に繋がる。課題はたくさんある。そこを次の試合までに修正していけたら」

 10月以降はオーストラリア代表、南アフリカ代表などより強大な相手との国内外でのキャンペーンをにらむ。

 昨秋は1勝4敗と失意に苛まれている。リーチら名手も揃えて臨む今度の季節は、ジョーンズ体制の現時点での真価が問われる。

取材・文●向風見也(ラグビーライター)

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配信元: THE DIGEST

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