今年の国際GI・ジャパンカップ(11月30日、東京・芝2400メートル)は、同レースの存在意義を占う歴史的な一戦になるかもしれない。キーホースとなるのは外国馬カランダガン(騙4)と、日本馬クロワデュノール(牡3)の2頭だ。
ジャパンカップがJRA初の国際招待競走として創設されたのは1981年。当初は外国馬に捻じ伏せられるレースが続いたが、1984年に日本馬カツラギエースが初の優勝を手にした。
その後は外国馬と日本馬による優勝争いが繰り広げられたが、外国馬アルカセットが勝利を収めた2005年以降、実に19年連続して日本馬の優勝が続いている。
背景にるのは、日本特有の高速馬場だ。その結果、近年は有力外国馬がJCへの参戦を次々と見送っており、国際招待競走としての位置づけまでが揺らぎ始めている。
ところが、である。JRAが危機感を募らせる中、今年はプレレーティング世界第1位(ダントツ130)のカランダガン(フランス調教馬)が電撃参戦してきたのだ。
かつて外国勢から「東京の馬場は速すぎる」との申し入れがあった際、馬場を少しでも柔らかくすべく、JRAが前日に散水車で夜通し水を撒き続けたという都市伝説が、まことしやかに囁かれたことがある。この情報の真偽は不明だが、JRAは今回、内心では「カランダガンの優勝でJCを立て直したい」と考えているのではなかろうか。
一方、有力日本馬が大挙して海外遠征に乗り出す近年のトレンドにともない、国内GIにおける出走メンバーの空洞化が顕著になりつつある。そんな中、今年は世界最高峰のレースとされる国際GI・凱旋門賞(10月5日、パリロンシャン・芝2400メートル)で「まさかの14着」に敗れたクロワデュノールがJCに参戦。
仮にクロワデュノールが海外遠征を自重し、天皇賞・秋からJCへと続く国内GIのゴールデンロードを歩んでいれば、その実力からして、順当にトップレベルのパフォーマンスを見せつけていただろう。
ならば今回はどうか。ヘソ曲がりでは人後に落ちない筆者としては、常識的に考えてイレギュラーなローテーションは否めないとしても、JRAが同馬に寄せる期待のほどがヒシヒシと伝わってくるのだ。
最後の直線で度肝を抜くマッチレースに持ち込んだ、カランダガンとクロワデュノールによる熾烈な叩き合い。これならどちらが勝っても、ファンは惜しみない拍手を送るだろう。
筆者の妄想と言われてしまえばそれまでだが、主催者であるJRAはJCの復権を図るべく、こんな青写真を心秘かに描いているのではないだろうか。
(日高次郎/競馬アナリスト)

