●二極化は2020年ごろに始まっていた
現在、完全ワイヤレスイヤホンの販売構成比をみると、1万円未満の低価格帯が約4割、1万~2万円未満が2割、そして2万円以上が4割を占めているとのことです。ちょうど真ん中の価格帯が薄くなり、上下の価格レンジに人気が集中しているのが特徴です。
この「価格の二極化」は、実は2020年ごろに始まっていました。当時、Ankerなどの新興メーカーが1万円を切る価格で高機能なモデルを相次いで発売。それまで「完全ワイヤレスは高い」と感じていた層が一気に購入へと踏み切り、市場に低価格モデルが急増しました。
一方で、アップルやソニーなどの大手メーカーは、円安やモデルチェンジの影響もあり、価格を上げつつも販売台数を維持。ブランドへの信頼と製品の完成度が、高価格帯の構成比を押し上げる結果になりました。
BCN総研のアナリストはこう分析します。「22年以降は、1万円未満が安定して4割前後を占めています。安価で機能も十分なモデルが増えた一方、ブランド力で支持を集める高価格帯も根強い。中間層が少ないのは、どちらかに価値を見出す消費者が増えたからだと思われます」。
●台頭するAnker、ブランドで踏みとどまるソニー
目立つのは、Ankerです。同社は、モバイルバッテリーなどで培った知名度を背景に、安定した品質と価格を両立。「必要十分な機能を手に取りやすい価格で」という戦略が受け入れられています。
一方で、ソニーは高価格帯で安定した販売を維持。BCN総研のアナリストは「ソニーはブランド力を背景に、2万円前後という価格でも高い支持を得ています。アップルと同じく、安心して買えるブランドとしての信頼感が大きい」と話します。
市場を見ると、価格だけではなくブランド体験そのものが購入の決め手になっていることが分かります。製品の機能差が小さくなるほど、「このメーカーなら間違いない」という心理的価値が、ますます重要になってきました。

