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「憎まれ役」から「陰の立役者」へ 『ごくせん』猿渡教頭の愛すべき変化

「憎まれ役」から「陰の立役者」へ 『ごくせん』猿渡教頭の愛すべき変化


画像は『ごくせん <Third Series>』Blu-ray BOX(VAP) (C)NTV (C)森本梢子/集英社

【懐かしっ!】もはやほほ笑ましい(笑) ヤンクミvs猿渡教頭のバチバチシーンを思い出す

腐れ縁の「教頭」をも変えたヤンクミの功績

 人気学園ドラマ『ごくせん』といえば、任侠集団のお嬢として育った熱血教師「山口久美子(演:仲間由紀恵)」、通称「ヤンクミ」とその教え子たちのアツい絆を思い出す人が多いでしょう。しかし本作で描かれていたのは、生徒たちの青春物語だけではありません。

 生瀬勝久さん演じる「猿渡教頭」もまた物語を通じて大きく変化した人物で、とりわけ第3シリーズはそれがより鮮明に感じられました。年齢を重ねた大人の成長は、ある意味子供たちの成長以上に胸に響くものがあります。間違いなく彼は、「ごくせん」シリーズの陰の立役者でした。

 そもそもかつての猿渡教頭は、問題児ばかりを集めた「3年D組」を毛嫌いし、その担任であるヤンクミに対しても敵対的な態度を見せていました。不良生徒のことを平気で「ゴミ」「クズ」と呼び、何か問題が起きれば「どうせやったのは3年D組の連中に決まってる」と疑いの目を向ける、まさにヤンクミにとっての天敵だったのです。

 しかし生徒たちのために全力を尽くすヤンクミに対し、何も思わなかったわけではありません。むしろ教師陣のなかでもっともヤンクミの影響を受けているのが猿渡教頭であり、最終回では必ずといっていいほど彼女のために行動を起こします。

 特に第2シリーズに関しては、猿渡教頭の計らいがあったおかげでヤンクミたちは卒業式に出席することができました。しかもヤンクミが学園を去った後、猿渡教頭も自らの意志で自主退職し、彼女とともに南の島にある「やんばる学院高校」に赴任するというラストで幕を閉じるのです。

 この結末もまた往年のファンにとっては感慨深いラストでしたが、2008年に放送された第3シリーズではさらに絆の深まったふたりが描かれています。

 まず注目したいのが、物語の幕開けです。従来は偶然や人事の手違いによって、結果的にヤンクミが猿渡教頭のいる学校に赴任する、という形が定番でした。しかし第3シリーズでは、ひと足先に東京へ戻った猿渡教頭が、自らヤンクミのもとを訪れ、赤銅学院高校の教師として働いてほしいと頭を下げます。かつて何かの間違いでヤンクミが赴任してきたとき、「お前、帰れ」と追い返そうとしていた猿渡教頭が、です。

 さらに第3シリーズともなると、ふたりはもはや仲良しの域に達しており、掛け合いも漫才のように息ぴったり。言葉を交わさずともジェスチャーで意思疎通できるほどで、そのやり取りからは長年の付き合いの深さが感じられます。

 またヤンクミの元教え子である「熊井輝夫(演:脇知弘)」とも、すっかり顔なじみのような関係です。悪態をつき合うやり取りこそ残っているものの、そこにかつての悪意はなく、むしろほほ笑ましいじゃれ合いのように映ります。ヤンクミも「このふたりはいつもこうなんです」と笑って見守るほどです。

 加えて熊井に第一子が誕生した際には、「奥さんに何か栄養のあるものを食べさせてあげなさい」と出産祝いを渡す場面もあり、情の深さも垣間見せました。

 そして極めつけは最終回です。かつては問題児たちのことを「ゴミ」「クズ」呼ばわりしていた猿渡教頭でしたが、退学の危機を乗り越え、大喜びする生徒たちを見届けた際には「ヤツらがあんな風に笑うの、初めて見ました。人は変われるーー嘘じゃないのかもしれませんね」と彼らなりの努力を認めていました。

 こうした猿渡教頭の変化は、やはりヤンクミと共に歩んだ年月がもたらしたものでしょう。のちに彼は悲願の校長へと昇進しますが、それは単なるポストの昇格ではなく、ひとりの教育者として大きく成長した証なのかもしれません。

配信元: マグミクス

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