
「俺もやってやんなきゃ」オランダで圧巻2発の日本代表FWが明かした、古巣・水戸&磐田への思い「彼らにパワーを貰った」【現地発】
11月29日、水戸ホーリーホックのJ1初昇格、そしてジュビロ磐田の劇的なプレーオフ進出に、OBの小川航基(NEC)は力をもらい、スパルタ相手に2ゴールを決めた。今季通算6ゴールとし、得点王ランキング5位のトビアス・ラウリツェン(スパルタ)に1差に迫っている。
小川が10分に決めた先制弾は、攻撃サッカーを標榜する今季のNECを象徴するような崩しからのゴール。GKが蹴ったロングボールをMFサミ・ウアイサが収めて小川に落とし、そこから小川→佐野航大→ウアイサとショートパスがつながり、最後はゴール正面から小川が右足を振り抜いた。
「GKのロングキックからすごくいい流れで、相手のゴール前を崩すことができました。自分のゴールというより、チームのゴール。航大からパスをもらえないと判断して動き直した。それがハマりました」
前半アディショナルタイムの2点目は、PKを右隅に決めたもの。これまでPKを蹴り続けてきたMFチャロン・チェリーが最近、2度続けて外したこともあり、日本代表FWは「次はお前が蹴れ」とPKを託されていた。
「僕はPKが得意なので、僕が蹴りたいというのもある。そして今回、しっかり自分で決めた。個人的に、PKは運ではなくやっぱり実力だと思ってます。ひとつのゴールとして自信を持ってカウントしていい。今日は雨でピッチが濡れていた。強いボールをサイドに蹴り込めば、キーパーが触る前にゴールにねじ込むことが出来る。実力あってのPK、そう僕は思ってます」
14試合を戦い終えたNECは今節の4位以上を確定させた。「その要因はやっぱり得点力」とエースストライカーの小川は言う。ここまでNECが叩き出した36ゴールという数字は、首位PSVの41ゴールに継ぐ、リーグ2位の成績である。
「得点を取れることがこのチームの強みです。センターバックにも足元(のスキルが)があって、上手い選手を配置している。毎試合失点して、失点数がちょっと多い(23失点。リーグ12番目)のでそれを減らしていかないといけない。しかし、それ以上に得点すればいいという考えもある。チームとして勝利するのが一番です」
NECの好調ぶりを象徴するのが前節のフェイエノールトとのアウェーゲーム。敵地で1-2の劣勢に立ちながら、途中出場の塩貝健人が2ゴールを決めるなどし、4―2で逆転勝ちした。試合終了間際に塩貝がトドメのロングシュートを決めると、すでにベンチに退いていた小川を筆頭に、チームメイトが殊勲の20歳をめがけて猛ダッシュし、もみくちゃにした。
「あの光景を見たら分かる通り、フェイエノールトにアウェーで勝つということがどんなに素晴らしいことかわかると思う。フェイエノールト戦の勝利が今日のNECを勢いづけたと思います」
この日は今季のJ2、J3最終節。日本全国で多くのドラマが生まれた日、小川にとって古巣のひとつである水戸ホーリーホックが、クラブ史上初めてJ1昇格を決めた。
「僕は半年だけでしたけれど、あのクラブでやり、感じたことがあります。出場機会を掴めなかったりした若い選手が水戸にレンタルされてきたり、お金のところだったり、環境の問題だったり、いろいろあると思いますよ。僕も内部の事を知ってます。水戸のJ1昇格は多くの人に夢や希望を与える出来事だと思いました。いろいろ感じるものがありました」
廃校を利用した水戸の練習場「アツマーレ」は、城里町七会町民センターを兼ねた施設。選手と市民がジムを共有して汗を流す。
「そういう中で水戸がやっていることは、あまりみんなが知らないこと。地域のおじいちゃん、おばあちゃんと一緒に共同で(施設内のジムを)使うということはなかなかない。水戸がそういう環境でも関係ないんだということを見せてくれた。希望を貰いました。
熱く語ってますが、僕が水戸にいたのは半年だけですからね。水戸にいた期間、僕はすごく大きなものを若いながらも再確認することができました。クラブには感謝してます」
ジュビロ磐田の一員として21歳で迎えた2019年のJ1、小川は前半戦で5試合、53分間の出場に留まった。しかし、夏に水戸へ期限付き移籍すると、デビューマッチから3試合連続ゴールを決めるなど活躍し、17試合出場7ゴール・2アシストのスタッツを残した。水戸で小川は「今の俺が本来の姿だよな」ということを再確認したのでは?
「そうですね。点を取る自信はとてもありましたが、(磐田では)出場時間をなかなかもらえなかった僕が、水戸では自分が持っている自信をピッチの上で表現出来た。そのことが若い自分に必要でした」
スムーズに水戸と馴染めたことについて、「水戸には『やってやるぞ』というギラギラして反骨心を持った選手が多く、そういう彼らと一緒にやっていたのが良かった」と小川は振り返る。
「みんな若かったんでね。その中で一人挙げるならボニ(ンドカ・ボニフェイス/現横浜FC)ですね。俺、ボニとは横浜FCでも一緒にやったんです。そこで彼が成長したのを感じられたし、僕自身も成長していった」
ジュビロ磐田もサガン鳥栖を相手に1-2の勝利を収め、7位から5位にジャンプアップして、プレーオフにJ1復帰を懸けることになった。しかもリカルド・グラッサの決勝ゴールは磐田にとって3試合連続の後半アディショナルタイム弾。今季の磐田は調子の浮き沈みが激しく、10月18日は徳島に0-4で大敗したが、最後の5試合を4勝1分けの猛スパートで駆け抜けた。
「磐田への思い入れはやっぱり強い」
磐田で花は開かなったが102試合出場と、プロのキャリアの中で一番多くの試合に出場した。
「やはりJ2では底力のあるクラブで、最後にプレーオフに食い込んでくるところに、僕も心躍らされるものを感じました。僕はジュビロ磐田で結果を出せなかったので、申し訳ない気持ちが強いです。ジュビロ磐田の発展と活躍を心から願ってます。
今、思うのが『彼ら(水戸、磐田)にパワーと気を貰った』ということ。『俺もやってやんなきゃ』という気持ちになり、それが今日、2ゴールという形になりました」
残念ながら、すでに横浜FCはJ2降格が決まっている。
「ここ最近、横浜FCは昇格も降格もしているクラブです。昇格と降格って、すごく気持ちを張り詰めた状態で戦っているんですよね。その中でやっている選手は、人としても選手としても間違いなく成長すると思います。僕は横浜FCでJ1昇格を経験し、その後、僕は半年で(NECに移籍して)いなくなっちゃいましたが、残留争いも経験させてもらいました。諦めずにまたJ1に戻って活躍できるように、横浜FCのことを祈ってます」
取材・文●中田徹
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