ミノタウルス伝説の謎を追う『宗像教授異考録』
スキンヘッドの民俗学者を主人公にした星野之宣氏の「宗像教授」シリーズでも、小泉八雲ネタが取り上げられています。『宗像教授異考録』の「織女と牽牛」では、七夕の織姫と彦星のロマンスをめぐる歴史ミステリーが描かれています。
宗像教授は、八雲の故郷・ギリシャに伝わるミノタウルス伝説と七夕との関係を探り、東京ー京都ー島根ーギリシャと壮大なスケールの謎解きに挑みます。半人半牛の怪物・ミノタウルスと明治時代の日本に出没したとされる人面牛の件(くだん)はつながりがあったのかも気になるところです。
八雲がセツと暮らした出雲地方のシンボル「出雲大社」をめぐる「巨木漂流」、『怪談』に登場する「雪女」伝説を追って宗像教授が東北へ向かう「氷の微笑」は、『宗像教授伝奇考』に収録されています。
これら3つのエピソードは、2025年11月28日(金)に発売される『宗像教授セレクション 小泉八雲と出雲』(小学館)でまとめて読むことができます。八雲愛好家も、宗像教授ファンも楽しめる1冊になりそうです。

日野日出志の『怪談』Kindle版(グループ・ゼロ)
日野日出志ならではのグロさが光る『怪談』
読者にトラウマ級の衝撃を与えることで知られているのは、ホラー漫画家の日野日出志氏です。『蔵六の奇病』『はつかねずみ』などのグロテスクな描写は、一度読むと忘れることができません。
そんな日野日出志作品にハマった人には、1980年代に出版された「旺文社名作まんがシリーズ」の一作として日野日出志氏が描いた『怪談』もおすすめです。遠目で見ても「あっ、日野日出志だ!」と分かる表紙カバーから、まず魅了されます。
日野日出志氏の純朴なタッチの画風と、明治時代に執筆された『怪談』の世界は、思いのほかマッチしています。第一話「茶碗の中」、第二話「耳なし芳一」に続く、第三話「ろくろ首」は日野日出志ファンなら見逃せない一編です。胴体から抜け出したろくろ首たちが、森のなかを浮遊し、虫を捕食するシーンは、ザッツ日野日出志ワールドです。
一転して、第四話「雪女」に登場するヒロインのお雪は、色白な美少女キャラクターとなっています。グログロな描写のイメージが強い日野日出志作品ゆえに、純真そうなヒロインがとても印象的に感じられます。恐ろしさ、美しさ、そして優しさを併せ持った雪女は、国境や時代に関係なく男性が感じる普遍的な女性像なのかもしれません。
