愛情を決めるのは…

孫の絵に涙(写真:iStock)
――愛情は“血のつながり”より、“接する時間の濃さ”で決まる。それを実感したのは、義母が足を悪くして入院したときだった。
病室に一番に駆けつけたのは、意外にもユカの息子だった。
「おばあちゃん、これぼくが描いたの!」と、幼稚園で描いた絵を持っていった。義母は涙ぐみ、「こんなに優しい子に育ててくれてありがとう」とユカに頭を下げた。
その日を境に、義母の言葉が少しずつ変わっていった。
「“うちの血”って言葉、もうやめようと思ってね。血じゃなくて、心がつながってるんだね」
その言葉に、ユカはようやく救われた気がした。
本当の家族を決めるのは、DNAじゃない

一緒に過ごす時間を大切に(写真:iStock)
人は、見えない“血”に安心を求める。けれど、本当に人をつなぐのは、DNAでも姓でもなく、過ごした時間と心の温度だ。
「血の濃さ」を誇るより、「関わりの深さ」を積み重ねた方が、きっと本物の“家族”に近づける。
愛情とは、遺伝ではなく選択の積み重ね。毎日の“おはよう”と“ありがとう”の中に、絆は育っていく。
――血はつながっていなくても、心でつながる。
本当の家族を決めるのは、DNAじゃなく、“一緒に生きてきた時間”なのかもしれない。
(おがわん/ライター)
