
2024年、デビュー20周年を迎え、全国を巡るアリーナツアーと、福岡・東京・大阪の3都市でのドームツアーを立て続けにおこなうなど、メモリアルイヤーに相応しく精力的に活動してきたSUPER EIGHT。大きな節目を終え、2025年は個々での活動が目立ったが、1年の締めくくりはやっぱり5人。「超八 in 日本武道館」と銘打ったライブは、グループ史上初となる日本武道館での開催となった。11月26日から3日間3公演。その3公演目となる11月28日の公演をレポートする。
■武道館ならではの五角形360度ステージ
日本武道館といえば、誰もが知る音楽の聖地。この地に憧れ、この地でのライブを一つの目標にしているミュージシャンは少なくない。しかし、収容人数5万5000人にも及ぶ東京ドームで、何日にも渡ってライブをおこなってきた彼らだ。今回の日本武道館は収容人数1万4000人。3公演でも動員数延べ4万2000人というのだから、かなり激戦チケットだったことは想像がつくだろう。彼らの姿を観たくても観られなかったファンのため、この日、生配信も行われ、全国のファンが見守るライブとなった。
会場である日本武道館は、360度客席がしつらえられている正八角形の建物。その真ん中に五角形のステージが設置され、中央に鎮座するドラムセットに期待感が煽られる。開演の17時が迫ると、どこからともなく、エイトコールが湧き起こる。
暗転の中流れてきたのは、「そして、俺たちが最高で、最強のSUPER EIGHT!」という、聞き馴染みのあるいつもの掛け声。スクリーンに、デビューから今までの彼らの軌跡が映し出された後、レッドカーペットが敷かれた奥の扉から5人が登場した。にこやかに手を振りゆっくりとステージへと歩いてゆき、客席に目を向けながらぐるりとステージを周ってバンドポジションにつく彼らの表情は穏やかで、いい意味での気負いのなさを感じさせる。
「SUPER EIGHT 20歳超えて21歳になりました。俺らの青春はこっからやぞ!」。そんな横山裕の第一声から始まったライブの1曲目は、「あおっぱな」。力強くアップテンポな楽曲で会場の熱が一気に上昇。安田章大の「次は懐かしいぞ」の声で始まった「『って!!!!!!!』」。おなじみの横山による「ワン、ツー、ワンツーウー!」で始まる「ズッコケ男道」は、ロックなアレンジがなされたバンドバージョンで。冒頭から、王道と新しさと懐かしさとをミックスした構成に、約10カ月ぶりとなるファンとの邂逅をいかに彼らが大事に思っていたかが伝わり、胸が熱くなる。
あらためましてのあいさつは村上信五が。「360度、いつものコンサートとは勝手も違うと思います。今日はぜひゆったりとわれわれの音楽、歌詞、言葉を味わっていただいて、いい一日を共有できれば」。そう話す間にも、メンバーが村上の何気ない言葉尻を捉え、真似して笑いに変える一幕が。次のコーナーに移行するため、立ち位置を移動する間も、何気ない言葉にツッコミ、ツッコまれの丁々発止が繰り広げられる。
それぞれが半円を描くようにステージの外を向き、始まったコーナーでは「ワッハッハー」をアコースティックアレンジで披露。平和や愛を真っ直ぐに伝える歌詞が、彼らからのメッセージのようにも聞こえ、会場が優しくあたたかな空気に包まれた。
しかし、曲終わりに入る丸山隆平の「アッハハハッハー!」から、合いの手の話題になると、ステージ上はワチャワチャモードにスイッチ。同曲のレコーディング時、丸山がアドリブで入れたものがそのまま採用されたという話から、「イッツ マイ ソウル」のメロディに合わせて彼が生み出したギャグ「私の友達シャケです(でした)」の話題に波及。
そこからさらに、ファンの間で今なお〝呪いの歌〟(耳に残るメロディーゆえに脳内でずっとリピートされてしまう)として愛され続けている「U字の水槽」の話題へ。U字の水槽とは、十数年前に放送されていた彼らの冠番組の中のコーナーで、丸山が考えた絵描き歌の一節。あまりに耳に残るメロディーとフレーズのため、番組内でも物議を醸したが、それ以来、ファンがことあるごとに「U字の水槽」を話題にし、今なおSNSのトレンドワードに定期的に上がってくるほど。
丸山が何気なく「みんなでちょっと歌ってみる?」と言うと、なんと会場中が古の絵描き歌を大合唱。思わぬ展開にメンバーも大盛り上がり。そこから、かつて出演していた冠のバラエティー番組を振り返り出すと、横山から「俺ら、めっちゃしゃべってない?」とツッコミが。芋づる式に続いてゆく昔話に、「同窓会みたいやな」と大倉忠義が楽しげな口調で返していたのが印象的だった。
再びバンドスタイルとなり歌ったのは「ローリング・コースター」。ドラムセットの置かれたステージ中央がせり上がり、外側のリフターが回転する仕掛けに、客席から大きな歓声が上がった。その勢いのまま、疾走感のある「象」に突入。当初はセットリストに組み込まれていなかったというが、安田の提案で急遽演奏することになったという。エッジのきいたロックテイストが会場のボルテージを一気に上げてゆく。
■穏やかな空気が流れるMCタイム
MCタイムでは、前日にメンバーだけで久々に食事に行ったことが話題に。「2014年から行ってない(中略)俺ん家、以来やと思う」と語り出したのは横山。当時、横山の家の植木鉢に全員がサインを書き、それを今も大事にしているという。思い切りグループ名が書いてあるから、引っ越し業者が家に入るときに、見えないように気を遣っているのだとも。その久々の食事会では、横山がご馳走してくれたことを大倉が語るも、その横山が、分かれて食事に行ったマネージャー陣の分の支払いを大倉がしていたことを暴露し、「そんなスマートなことある?」と絶賛。
交代でスマートなブルーの衣装に着替えた彼らだが、大倉が「次の曲なんやったっけ?」と聞けば、「えっ、どこが前?」と360度ステージに安田も混乱。「みんな前や」と冷静な村上がツッコミ。そんな流れから、次の曲「ハリケーンベイベ」の曲頭のフォーメーションと振り付けが話題に。それぞれのポーズや立ち位置の話題へと会話が転がってゆく中、自分の話を全然聞いてくれないと横山が丸山に駄々をこね出すなど、どこまでも平和な時間が流れてゆく。
お待ちかねの「ハリケーンベイベ」では一旦楽器を置き、ダンスで魅せた5人。続く「Street Blues」は、全員椅子に腰掛け、ジャジーなメロディーをしっとりと歌い上げた。
再び楽器を手にし、安田の「ここで歌うことに意味があるんちゃうかって話になりました」の言葉で歌い出したのは、TOKIOの「LOVE YOU ONLY」。事務所内でバンドスタイルを確立した先輩であり、これまで公私共に関係性の深かったTOKIO。明るく前向きな愛の歌を歌い上げる5人の歌声が、この先も続いていく人生の旅への応援歌のように聴こえた。
ライブ終盤、メンバーがステージに横一列に並ぶと、横山が語り出したのは、今年チャリティマラソンのランナーとして参加した「24時間テレビ」のこと。メンバーや後輩をはじめ、さまざまな人の支えがあって完走できたことへの感謝とともに、放送後、あらためて番組を見直し、メンバーが「オニギシ」を歌う姿に「俺も一緒に歌いたい」と思ったという。
この曲は、横山が自身の幼少期の思い出をもとに、女手一つで育ててくれた母親に向けて歌詞を書き、それに安田が曲をつけたもの。母の死からずっとこの曲を歌えなくなっていたという横山だが、今年、ようやくその死を乗り越えられたと自身のソロライブの中で披露し、大きな話題を呼んだ。そんな深い思い入れのある楽曲を、今度はメンバー5人で。スクリーンにそれぞれの幼少期の写真が映し出される演出も心憎く、エモーショナルな時間が流れた。
しっとりとした空気から一転、ラストは明るくパワフルな「乾杯‼︎節」で、賑やかに終了。村上が「みなさん、時間を作ってSUPER EIGHTのもとに駆けつけてくださり、あらためて本当にありがとうございました」という挨拶の後、「来年はもう少しみんなで会える機会を作りたいと思っています」と続けると、会場から大きな歓声が上がった。5人それぞれが、360度ぐるりと客席を見渡し手を振る。その満足げな表情と彼らを笑顔で見送るファンの間に流れるハッピーな空気が日本武道館を包み込み、本編が終了した。
彼らの姿が見えなくなると同時に湧き起こるエイトコールが徐々に熱を帯びていく中、スタートしたアンコールは、みんなでタオルをブンブン振り回すのがお約束となっている「T.W.L」。メンバーが歌いながらステージに走り込んでくると、再びの大歓声。曲に合わせ力一杯振られるペンライトが、まるで光の波のように彼らの頭上に降り注ぐ。曲終わり、それぞれが一文字でT、W、Lを作ろうとしたはいいが、全員がWを作ってしまうという展開も。打ち合わせなしのその場のノリがなんともSUPER EIGHTらしい。
■“友”へのメッセージと止まないエイトコール
そんな彼らがライブの最後に選んだのは、5人で再出発を果たした際にリリースした「友よ」。当時、この〝友〟にはファンのことも含まれていると語っていた曲だ。「立ち止まりそうになったら、この曲を聴いて、元気もらって、自分の向きたい方を向いて前に進んでください。進んだ方がきっと前です」。安田がそんな言葉を添えて曲を紹介した。時に打ちのめされながらも、覚悟を決めて前に進んでゆく力強い歌詞と、些細なことでいつまでも笑い合える友の存在があれば、この先もきっと大丈夫。そんな熱のこもった歌声に勇気づけられた人も多いはずだ。
「挫けそうになったことも何度もありましたし、こうやって今笑って、21年、そしてその先の楽しい未来を想像できること、当たり前のことではないですし、どれだけ幸せなことなのか。(中略)これだけのキャリアを積んできましたので、あと大体どんなことがあっても大丈夫だと思ってます」と再び村上があいさつ。そして「みなさんの人生に恥じないグループであり続けられますよう、これからも頑張ってまいります」とも。もちろん最後は、いつものあのコール。横一列に手を繋ぎ、ステージを少しずつ横に移動しながら360度回り、「最高で、最強の、SUPER EIGHT!」と高らかに声を上げた。
終演のアナウンスが流れるも、客席から三度目のエイトコールが。扉が開き大歓声に迎えられた彼ら。「もう、どんなん欲しいの?」と、横山がお決まりのセリフを口にし、「やるなら、思いっきりやりません? エイトとエイター(SUPER EIGHTのファンの総称)思いっきりぶつかり合いません?」と客席を煽り、流れたイントロは「無限大」。大阪松竹座時代から歌ってきた、彼らにとってもファンにとっても大切な一曲。「友情、真実、夢、希望、幸せ、笑顔、勇気、旅立ち」。客席も一体になって声を張り上げた。
そんな中でも、歌いながら往年のダンスステップを踏んでいた村上の姿に、某振り付け師の名前を挙げて「使わない手は腰に! と言われた」と茶々を入れる大倉。最後の最後まで賑やかに楽しく、笑いが絶えることなく2時間半の公演は終了。楽しいことも苦しいことも、悲しいことも愉快なことも、ともに乗り越えてきた5人の信頼関係と、エイターたちとの結びつきは、もはや本当に「友」と言っていいのかもしれない。そんな絆を信じられる、あたたかく力強いライブだった。
撮影=阿部岳人
取材・文=望月リサ
<セットリスト>
OVERTURE
M1 .あおっぱな
M2. 『って!!!!!!!』
M3. ナントカナルサ
M4. ズッコケ男道
M5. ワッハッハー
M6. I to U
M7. ローリング・コースター
M8. 象
M9. ⾳楽が聴こえている
〈 MC 〉
M10. ハリケーンベイベ
M11. Street Blues
M12. LOVE YOU ONLY
M13. 未完成
M14. ⾔ったじゃないか
M15. ハライッパイ
M16. “超”勝⼿に仕上がれ
M17. オニギシ
M18. 乾杯!!節
EN1.T.W.L
EN2 .友よ
D EN1.無限⼤

