
『連続テレビ小説 ばけばけ Part1 NHKドラマ・ガイド』(NHK出版)
【画像】え…っ! 夫婦で立って並ぶと「なんか小っちゃくてかわいい」 コチラが小泉八雲さん(ギリシャ人)と小泉セツさん(日本人)の身長差です
10年以上温かい地域に住んでいたラフカディオ・ハーン
2025年後期のNHK連続テレビ小説『ばけばけ』は『知られぬ日本の面影』『怪談』などの名作文学を残した小泉八雲(パトリック・ラフカディオ・ハーン)さんと、彼を支え、さまざまな怪談を語った妻の小泉セツさんがモデルの物語です。
第10週46話では主人公「松野トキ(演:高石あかり)」の未来の夫「レフカダ・ヘブン(演:トミー・バストウ)」が、松江の冬の寒さにすっかり参っている場面が描かれました。屋内でも暖炉やストーブがないため、「ジゴク」のような寒さだとぼやいています。
ヘブンのモデルであるラフカディオ・ハーンさんは、1852年に2歳でアイルランドに移り住み、幼少期を寒い国で過ごしました。しかし、1869年に渡米し、1878年からはアメリカ南部のニューオーリンズに移住、1887年から2年間は西インド諸島の仏領マルティニーク島に住んでいたため、彼は暖かい気候になれていたそうです。
来日1年目の1890年から1891年にかけての松江の冬は、ハーンさんにとってかなりこたえたようで、彼は1891年1月中旬に気管支炎になってしまいました。この年の寒さは例年と比べても異常だったそうで、「錦織友一(演:吉沢亮)」のモデル・西田千太郎さんも、日記に「寒威積雪共に近年稀有なり」と残しています。
ハーンさんが病に倒れた後の1891年2月頃から女中として働き始め、同年夏頃にハーンさんと夫婦になった小泉セツさんは、後年に残した手記『思い出の記』のなかで、
「出雲は面白くてヘルンの気に入ったのですが、西印度のような熱いところに慣れたあとですから、出雲の冬の寒さには随分困りました。その頃の松江には、未だストーヴと申す物がありませんでした。学校では冬になりましても、大きい火鉢が一つ教場に出るだけでした」
「寒がりのヘルンは西田さんに授業中、寒さに困る事を話しますと、それならば外套を着たままで、授業をなさいとの事でした。この時一着のオヴアーコートを持っていましたが、それは船頭の着る物だと云っていましたが、それを着ていたのです」
と、『ばけばけ』で描かれた通り当時の松江にストーブがなかったこと、ハーンさんが学校でも寒さに困っていたことを語っていました。
『ばけばけ』公式サイトにある明日47話のあらすじを見ると、「慌てた様子の錦織がヘブンを抱えて現れる」と書かれています。とうとうヘブンも、ハーンさんと同じく病気になってしまうようです。
※高石あかりさんの「高」は正式には「はしごだか」
参考書籍:『八雲の妻 小泉セツの生涯』(著:長谷川洋二/潮出版社)
