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オレンジジュースを飲むと1700個の遺伝子活性が変化すると判明――血圧・代謝・炎症にも関連

オレンジジュースを飲むと1700個の遺伝子活性が変化すると判明――血圧・代謝・炎症にも関連

遺伝子調節機能があるのはオレンジジュースだけ?――食の定義が変る

遺伝子調節機能があるのはオレンジジュースだけ?――食の定義が変る
遺伝子調節機能があるのはオレンジジュースだけ?――食の定義が変る / Credit:Canva

本研究により、「オレンジジュースには遺伝子レベルで体を調節しうる治療的可能性がある」ことがより強く裏付けられたと著者らは述べています。

言い換えれば、ありふれた食べ物が人間のゲノム活動に広範囲な影響を及ぼしうるという重要な発見です。

毎日の食習慣が私たちの遺伝子に働きかけて健康を守っているかもしれないという点で、本研究は栄養と遺伝子の関係(ニュートリゲノミクス)に新たな光を当てています。

特に、効果の現れ方が体型によって異なるという結果は、一人ひとりに合わせた「パーソナライズド栄養」の重要性を後押しするものです。

例えばフラボノイドが豊富な食品を日常に取り入れれば、自分の体質に応じて炎症を抑えたり脂肪代謝を促したりする効果が期待できるかもしれません。

身近な食べ物で遺伝子のスイッチを調節して健康増進に役立てる――そんな未来が現実味を帯びてきた一歩だといえるでしょう。

もっとも、本研究は遺伝子の働き方の変化を主に調べたものであり、オレンジジュースの具体的な健康効果――たとえば血圧がどれくらい下がったかといった詳細な数字は本論文では新たに解析していません。

今後、さらなる大規模試験や対照実験を行い、今回の結果を検証するとともに、こうした分子レベルの変化が本当に病気リスクの低減など実際の健康効果につながるのかを見極める必要があるでしょう。

それでも本研究には大きな価値があります。オレンジジュースという身近な飲料で人間のコーディングRNAとノンコーディングRNAの両方にまたがる大規模な発現変化を示したのは前例が少なく、栄養がゲノムに及ぼす影響を包括的に示した点で画期的です。

もし今後、オレンジジュースだけでなく他の様々な食べ物や飲み物でも同様の遺伝子活性に与える変化が明らかになれば、食を「遺伝子調節の手段」と捉える新時代のゲノム薬膳のような分野が開けるかもしれません。

元論文

A Global Transcriptomic Analysis Reveals Body Weight-Specific Molecular Responses to Chronic Orange Juice Consumption in Healthy Individuals
https://doi.org/10.1002/mnfr.70299

ライター

川勝康弘: ナゾロジー副編集長。 大学で研究生活を送ること10年と少し。 小説家としての活動履歴あり。 専門は生物学ですが、量子力学・社会学・医学・薬学なども担当します。 日々の記事作成は可能な限り、一次資料たる論文を元にするよう心がけています。 夢は最新科学をまとめて小学生用に本にすること。

編集者

ナゾロジー 編集部

配信元: ナゾロジー

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