近年「全身60分3000円」などと謳う激安マッサージ店が急増している。手頃な価格と気軽に立ち寄れる利便性から、深夜まで客足が絶えない人気ぶりだ。
しかし、忘年会シーズンに警鐘を鳴らしたいのは「酔ったままでのマッサージ」。実はこの「酔いマッサージ」には、想像以上の危険が潜んでいるからだ。
一見すると「逆にほぐれて気持ちいい」「疲れが取れそう」と思うかもしれないが、アルコールが残った状態では筋肉が通常より緩み、痛みに鈍感になる。結果、本人が気づかないまま強い力を受けて筋肉を傷めたり、翌日に広範囲の内出血が残ったりするケースは少なくない。
さらに深刻なのが、急激な血流の変化だ。飲酒後は血管が拡張しているため、強めの施術を受けると血圧が乱れ、めまい、頭痛、吐き気などを引き起こしやすくなる。
実際に酔った状態で施術を受けた30代女性は、恐怖の体験をこう語るのだった。
「最初は気持ちよかったんですけど、途中で急に目眩がして吐きそうになったんです。終わってからもフラフラで、帰れるかどうか不安になるほど。あれは本当に危なかったと思います」
現場で働くマッサージ師も、酔った客のリスクを肌で感じている。
「酒を飲んでから来店される方は多いのですが、急に青ざめたり寝落ちしたりして、本当に危ない。体調が悪いのにうまく説明できない方もいて、施術する側としてはヒヤヒヤします」
忘年会帰りに癒やしを求めて立ち寄ったつもりが、大きな事故につながる可能性がゼロではない。特に「強揉み」は危険度が高く、翌日まで深刻なダメージを残しかねない。
楽しいシーズンを安全に過ごすためにも「酔っている時のマッサージはNG」ということを覚えておきたい。アルコールが抜けてから落ち着いた体で受けるのが、何よりのセルフケアだ。

