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『ガンダム』ザクながら文字どおり「踏み台」となった子たち「水は苦手」「稼働10分」

『ガンダム』ザクながら文字どおり「踏み台」となった子たち「水は苦手」「稼働10分」


「ROBOT魂〈SIDE MS〉MS-06M(MSM-01)ザク・マリンタイプ(レッドドルフィン隊所属機) ver. A.N.I.M.E.」(BANDAI SPIRITS) (C)創通・サンライズ

【画像28枚】こちらがジオングに結実する個性強めな子たち&ジオン水泳部の祖です

型式番号が物語る開発の軌跡

「ガンダム」シリーズに登場するモビルスーツ(MS)「ザクII」は、そのバリエーションの多さでもよく知られます。なかには「MS-06」の型式番号が振られていても、生産はごく少数に限られたレアなタイプも見られました。テスト用の機体などです。

MS-06M/MSM-01「ザク・マリンタイプ」

「ザク・マリンタイプ」は、いわゆる「ジオン水泳部」の始祖といえる機体で、型式番号にもそのあたりがうかがえるでしょう。「水中用ザク」「水中型ザク」とも。

 ジオン軍が地球侵攻を進めるにあたって、水中でも戦えるMSを計画します。そこで白羽の矢が立ったのが、汎用性の高い「ザクII F型」(C型とする資料も)をベースとした水陸両用機の開発でした。

「水中行動も可能なザク」という、分かりやすいコンセプトで始まったこの計画、試作機として5機がつくられ試験が開始されたのですが……水の抵抗をまともに考慮していなかったのでしょう、その形状は水中での運動性を著しく阻害し、「極めて悪い」という評価を受ける始末だったようです。また、もともと気密に問題はなかったものの、水密には問題を抱えてしまったとも。

 結局この試作機は戦力化を断念され、その後はデータ収集役に回されることになります。改めてMSM-01という型式番号が与えられたこの機体、失敗作とはいえ後の水陸両用MS開発の礎となったといえるでしょう。

 ジオン公国軍においては、最終的には2機の追加試作機が加わり、全7機となっています。多少の武装があったため、一年戦争末期には全機が実戦参加したとのことです

 なお、一年戦争の7年後を描いたアニメ『機動戦士Zガンダム』には、「マリン・ハイザック」と呼称を変え近代化改修され同機の姿が見られます。

MS-06Z「サイコミュシステム試験用ザク」

「ニュータイプ」の出現は、ジオン軍にとっても、まさに戦況を一変させうる可能性を秘めたできごとでした。そこで彼らの特殊な感応能力を活用すべく、「サイコミュシステム」搭載兵器の開発が急ピッチで進められることになります。

 そのなかで生まれたのが「サイコミュシステム試験用ザク」、すなわちZ型です。ザクII F型ベースとはいうものの、実際のところザクの要素が残っているのは顔とメインフレームくらいでした。胸部にはすでにジオングの意匠が見てとれ、大型化した腕部には有線誘導5連装メガ粒子砲を
装備、各部に取り付けられた大型スラスターも、ザクの常識をはるかに超えた推力を発揮します。確かにこれは、見た目も中身もザクIIとは別物といえるでしょう。

 サイコミュ兵器として先行するモビルアーマー「ブラウ・ブロ」のデータも反映されており、ジオング開発への重要なステップとなります。ただ、そのような大推力の代償からか稼働時間はわずか10分程度で、試験機の域を出ることはありませんでした。

 Z型は計3機が製造され、うち2号機は脚部を大型ロケットエンジンに換装した「サイコミュシステム高機動試験機」となります。こちらは「高速機動型ザク」「サイコミュ高機動試験用ザク」との呼称も見られますが、型式番号「MSN-01」からも分かるように、もはやザクの系譜からは外れた存在ともいえそうです。

参考:「機動戦士ガンダム モビルスーツバリエーション 1 ザク編」(講談社)

※誤字を修正しました(24日11時25分)

配信元: マグミクス

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