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マクラーレンのステイアウト戦略、ライバルチームかなり驚く……しかし「事前にその可能性を議論した」との声も|F1カタールGP

マクラーレンのステイアウト戦略、ライバルチームかなり驚く……しかし「事前にその可能性を議論した」との声も|F1カタールGP

F1カタールGPでは戦略ミスによって勝利を逃したマクラーレン。ライバルチームも、レースの趨勢を分けることになったその判断には驚かされたと話している。

 カタールGPではマクラーレンのオスカー・ピアストリとランド・ノリスが予選でフロントロウを独占。レースもピアストリがホールショットを決め、ノリスはマックス・フェルスタッペン(レッドブル)に抜かれて3番手に下がったものの、2台揃って表彰台を確保するのは確実と見られていた。

 しかしレース7周目にニコ・ヒュルケンベルグ(ザウバー)とピエール・ガスリー(アルピーヌ)がクラッシュしたことによって、セーフティカーが出動。この時、多くのチームが一斉にピットストップした一方で、マクラーレンはドライバーふたりをステイアウトさせた。この時ピットストップしなかったのは他にハースのエステバン・オコンのみで、そのオコンは次の8周目にピットに入った。

 カタールGPではタイヤ1セットあたりの最大周回数は25周までに制限されており、残り50周となったこの時は絶好のタイミングだった。32周目にもう1度ピットに入れば、それで走りきれるタイミングだったのだ。

 マクラーレンはその後、2度目のピットストップ時にライバルの前で復帰できるほどのドバンテージを稼ぐことができず、ピアストリ4番手、ノリス5番手でコースに復帰。その後追い上げを見せたものの、ピアストリはフェルスタッペンの後塵を拝する2位フィニッシュ。ノリスも4位に終わった。

 このマクラーレンの判断を、ライバルチームは驚きとともに受け止めていた。

「ああ、我々も驚かされた」

 そう語るのはレッドブルのローレン・メキーズ代表だ。

「レース後になってみれば、正しい戦略が何だったかを言うのは簡単だが、かなり驚かされた。しかし我々としては、その周が(ピットインできる)最初の周であり、ピットインを選ぶと事前に決めていた。ただ、彼らのその瞬間の思考プロセスを判断することはできない」

 そしてアストンマーティンのマイク・クラック(チーフトラックサイドオフィサー)もレッドブルの見解に同意した。

「非常に驚いた。準備をしっかりしていても、セーフティカーやレース距離、最大周回数などから極端な事例というのが出てくるんだ。そしてほぼ全員がピットインし、2台だけがしなかったという事実は、それが誤りだった可能性を示している」

「今朝の段階で、我々は7周目のセーフティカーという状況について長く議論した。なぜなら、勇気のいる判断ではあるからだ。25周×2セットで走り切るしかなくなり、余裕をすべて捨てることになるからね。しかし私は全員がピットに入ると思っていたし、彼らが入らなかったことに驚いた」

 フェラーリでも、『7周目にセーフティカーが入ったら』というシナリオはレース前から話題となっていたという。フレデリック・バスール代表は、チームの考えを次のように語った。

「レース前に言っていたが、最悪のケースは7周目にセーフティカーが出ることだった。そうなると残り50周という状況になるからだ。つまり、全員がセーフティカー中にピットインし、32周目にもう一度入ることが決まるんだ」

「このケースでは、異なる戦略を取ったマクラーレンを除いて、誰も誰かのことをオーバーテイクしなかったと思う。正直なところ、私は理解できなかった。7周目にセーフティカーが出ればピットインするのは明らかだと思っていたからだ。彼らは、ダブルピットストップによる遅れで2台のどちらかに有利な状況与えることを恐れたのかもしれない。ただ、正直これ以上は分からないことだ」

 こういった形でライバルから驚いたと話されているマクラーレンのステイアウト戦略だが、他チームでも検討自体はされていた。

 ウイリアムズもそのひとつ。しかし彼らは、アレクサンダー・アルボンがポイント圏外からスタートする状況だったため、上位に上がるためには何か違うことを選ぶ価値があるかもしれないと考えたからだった。

 しかしそのウイリアムズも、結果的には7周目のピットインすることを選んだ。

「ほぼ決まっていた。我々は今朝すべてを検討しており、その時点から何も変わらなかった。議論があったのはアレックスだ。カルロス(サインツJr.)については確実にピットインだった」

 ウイリアムズのジェームス・ボウルズ代表は、F1 TVにそう語った。

「アレックスについては、ポイント圏外からのスタートだったため、何か違うことを試すべきかどうか議論があった。しかし結論として、ここ(7周目)に止まるのが16秒分有利であり、今そうすべきであるという判断を下した。そしてそれが正しい決断だったと明らかになった」

 なおマクラーレンのアンドレア・ステラ代表は、レース後に「全員がピットインするとは思っていなかった」と当時の戦略判断を説明。結果的に正しい判断ではなかったと認めている。

 このレースの結果、タイトル争いは最終戦に向けて緊張がより高まることになった。首位のノリスに対し、2番手のフェルスタッペンは12ポイント差に迫り、逆転での5連覇も視野に入る状況となっている。

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