巨人の来季を語る上で最も象徴的なキーワードは「バント」かもしれない。
豪快な本塁打でファンを熱狂させた李承燁(イ・スンヨプ)1軍打撃コーチの就任で「長打力向上」「ホームラン量産」といった期待が高まる…かと思いきや、韓国メディアが報じてきた「李承燁=バント多用」という実像が浮かび上がってくるのだ。
2023年から韓国・斗山ベアーズの監督として、2025年シーズン途中までチームを率いた李承燁氏。中でも2024年は象徴的だった。斗山はリーグ2位となる犠牲バント85回を試みて、成功率は64.7%。これは10球団中9位の、精度の低さだった。数だけは多いのに結果が伴わない状況が続き、「バントを多用するわりに成果が出ていない」と厳しい評価を受けることになったのである。
9回無死二塁、1点差の場面で「当然、バント」と言い切って送りバントを選択したケースや、8回5点リードという状況でも犠牲バントを指示した試合がある。あまりに保守的な采配はしばしば「日本式スモールベースボール」と揶揄された。
何より象徴的なのが、来季の巨人には「バントを重視する指導者」が三者揃ったという点だ。阿部慎之助監督は確実に1点を取りにいく作戦を好み、川相昌弘コーチは球界随一の送りバントの名手として知られる。そこに韓国リーグ屈指のバント多用指導者が加わるのだ。まさに「バント三銃士」が揃ったのであり、この顔ぶれを見れば、チームがどんな攻撃スタイルを目指すのか、おのずと想像がつく。
理想は長打と小技の両立だが、勝負どころでは「まず送る」という選択がこれまで以上に増える可能性は高かろう。
今季の巨人は企犠打116、成功89、成功率7割6分7厘という結果を残した。送りバントの回数は多いものの、成功率が際立って高いわけではない。
豪快なホームランと、徹底したスモールベースボール。対照的なスタイルを、来季の巨人は両立させながら戦うことになりそうだ。
(ケン高田)

