キャラクターと共演者の温かさ
——共演者の方々とは、現場でどう過ごされていたんですか?
今回、初めてお会いする方が多くて、現場に入る前はドキドキしていました。でも楡井秋彦役の木戸大聖くんは、Netflixの「First Love 初恋」で、共演していたので心強かったです。あのドラマ以来の共演で、その後どうしてる?じゃないですけど、近況とか話していました (笑) 。
その他の演者の皆さんも本当に優しかったです。梅宮一役の上杉柊平さんは、少し年上でスタイリッシュな印象があって緊張していたんですけれど、現場を盛り上げてくださったり、私が1人でいたら話しかけてくださったりとか、とても優しく接してくれました。皆さん本当に温かかったですね。
——演じられた橘ことはと八木さんの共通点はありますか?
さっぱりとした性格は似ているんじゃないかなと思っています。そこが演じやすくもありましたね。ことはって、力が抜けた存在じゃないですか。私も割と自然体でいる方が楽なので、お芝居しやすかったです。
同年代の防風鈴のみんなが戸惑っているときも、彼女はふっと鼻で笑っていて、どこか達観して見えるんです。そんな彼女が、桜に対して感情的に訴えかけるシーンがあるので、そこは注目してもらえたら嬉しいです。
——反対に自分とは違う部分はありますか?
自分との違いというか、見習うところがたくさんありました。彼女って、とても大きな愛の持ち主だと思うんです。梅(ことはによる梅宮の呼称)と同じ児童養護施設で育っているので、ことは自身も色々な経験をしてきたからこそ、桜の孤独もわかる。
上から物を言ったりしますけど、それも本当に桜のことを考えて、”どうか独りで閉じこもらずに、こっちを向いて”という想いがある。「色々な背景を抱えたやつらが集まっているから」みたいなセリフもあって、防風鈴のみんなのことも、すごく理解しているんですね。お芝居をしていて、”私、ここまで懐深くいられるかなぁ”って考えちゃいました。”自分はまだまだだな、その愛の大きさは見習わなきゃいけないな”と思いましたね (笑) 。
作り込まれた大事なメニュー
——撮影は今年2月から4月までの全編沖縄ロケだったそうですね。実在する商店街に、ことはの働く喫茶ポトスがある東風商店街をつくられたとお聞きしました。
お店の内装だけじゃなく、店舗看板、外装、街並みも装飾部さんが映画用に作ってくださって、びっくりしました。CGで処理するのではなく、施工されていたので感動しました。あと裏設定というわけじゃないんですけど、風鈴高校の屋上には大きな木があって、それに関連して喫茶ポトスにもたくさんの緑があります。またポトスの壁には、獅子頭連メンバーの兎耳山丁子の兎、十亀条の亀といったように、登場人物の名前にちなんだ動物が描かれていて、実はすごく練られた装飾をしてくださっています。
防風鈴メンバーの苗字には植物が、対立する獅子頭連メンバーの苗字には動物が入っていて、喫茶ポトスには植物も動物もみんなが一緒にいるんです。細かい部分も楽しんでもらえると思うので、そこにも注目していただきたいです。
——喫茶ポトスといえば、ことはの作るオムライスは、単なる人気メニューというより登場人物にとって特別な食べ物ですね。
実は今までオムライスを作ったことがなくて、今回の映画撮影に入るにあたって作ってみました。半熟だったり、いろんな種類のオムライスがあるんですけど、ことはの場合、オーソドックスな薄い卵の皮で包むオムライス。”卵がキレイに巻けるかな?”ってドキドキしながらお家で作りました (笑) 。
ことはって、オムライス作りが慣れているっていう設定なので、卵を片手で割るシーンがあると言われていたんです。私、いつも両手で割っていたんですけど、片手で割ってみると、ちょっと殻が入ったりするんですよね。すごく練習して、片手で綺麗に割れるようになったんですが、本編では映っていませんでした (笑) 。
——八木さんにとって個人的に大事な食事メニューはありますか?
切り干し大根です。母がよく作ってくれて、それがすごく美味しくて大好きで、自分でもよく作ります。東京に来てから撮影現場でご飯を食べることが多くて、メインの料理をいっぱい作っても、次の日は自宅で食べないこともあるので、常備食を作ることが多いです。夜な夜な切り干し大根をお水で戻して、グツグツ煮て人参切って油あげを切って‥‥ってしています。切り干し大根は思い入れのあるメニューです。
