最新エンタメ情報が満載! Merkystyle マーキースタイル
Jリーグの欧州拠点「J.LEAGUE Europe」の全貌! 具体的な活動内容や成果と課題、見据える展望などを徹底深堀り【インタビュー】

Jリーグの欧州拠点「J.LEAGUE Europe」の全貌! 具体的な活動内容や成果と課題、見据える展望などを徹底深堀り【インタビュー】


 Jリーグはグローバル展開を加速させるため、グループ企業である「株式会社Jリーグインターナショナル」の欧州拠点としてロンドンに「J.LEAGUE Europe」を設立。今年1月から本格的に始動した。

 ミッションとして「日本サッカーの更なる発展・水準向上のために、欧州サッカー界とJリーグ・Jクラブの接点を様々な領域で増やしていくこと」を掲げるなか、実際にはどのような活動や取り組みを行なっているのだろうか。

「株式会社Jリーグインターナショナル」の代表取締役である山崎和雄社長、かつては代理人として多くの日本人選手たちの欧州移籍を手掛け、現在は「J.LEAGUE Europe」の責任者を務める秋山祐輔氏に話を訊いた。

――◆――◆――

――あらためて、「J.LEAGUE Europe」設立の具体的な目的を教えてください。

「(山崎社長):これまでJリーグ全体の課題として、内に閉じこもってしまう傾向がありました。しかし、サッカーは世界に繋がっているスポーツです。日本人選手たちはどんどん海外に出て活躍しています。一方でクラブの経営者や強化部門の方々も含めて、世界と同じレベル感で強化していかないと、日本サッカー界全体が進化できないと考えています。

 日本からヨーロッパへ出張で行くことはできますが、日常的に現地の方々とコミュニケーションを取るのは難しい。そこで、我々がロンドンに拠点を置き、得たものをJクラブに還元して繋いでいく。これがきっかけです。本来は各Jクラブが個別に海外でネットワークを築いて活動していくのが理想ですが、なかなか難しい現状があるため、まずはJリーグとして『J.LEAGUE Europe』を設立しました。やはり1番の目的は、ミッションにも掲げている欧州とのタッチポイントを増やすこと。Jクラブ関係者の方々の意識を変えてもらい、世界で戦えるクラブを作るにはどうすればいいかを日常的に考えていただきたい。それが日本サッカーを強くすることに繋がると思っています」
 
――「J.LEAGUE Europe」の設立にあたり、当時、“敏腕代理人”として活躍されていた秋山さんを責任者に抜擢した理由は何ですか?

「(山崎社長):理由はいくつかあります。まず、このミッションを遂行するには、単に英語が話せてサッカーを知っている人というだけでは、現地の方々との関係を構築するのに時間がかかりすぎてしまいます。すでにヨーロッパのクラブ関係者たちとのネットワークを持っている人でなければ、大幅な遅れをとってしまうと考えていました。また、Jリーグ全体の課題や野々村(芳和)チェアマン体制のカルチャーを理解していることも重要です。そう考えた時に、これらの条件を満たし、始動初日から活動できる人物は、彼の他にいませんでした」

――秋山さんは「J.LEAGUE Europe」の責任者に抜擢された時、どんな心境でしたか?また現地ではどんな活動を行なっているのでしょうか?

「(秋山氏): Jリーグがグローバルな環境でどう位置付けられるか、ヨーロッパを中心とする世界とどう繋がっていくか、という新しいチャレンジをする段階で、そのプロジェクトに最初から関われることは、非常に光栄なことだと感じたのが素直な気持ちです。

 私は、日本とヨーロッパの人や情報、ノウハウ、ネットワークといったあらゆるタッチポイントを増やすことを目ざしています。具体的にお話すると、良い監督を日本に招聘することや質の高いクラブ提携を増やすこと、レッドブルが大宮アルディージャ(現在はRB大宮アルディージャ)に出資したような取り組みも、もっとあっていいと思っています。これらすべては、Jリーグが大きくなり、価値を上げるために行なっており、日本サッカーのエネルギーをヨーロッパだけでなくアジアやアメリカなど、世界に向けて放出していく循環を作れればと考えています。

 また、ヨーロッパでJリーグをもっと知ってもらうための情報発信も行なっています。現在、欧州の約100クラブにニュースレターを送っていますし、イギリスのメディア『FourFourTwo』とタイアップ記事も制作しました。他には選手情報サイト『Transfermarkt』とも連携しています」
 
――秋山さんは現地で試合会場にも頻繁に足を運んでいるとお聞きしました。その意図は何ですか?

「(秋山氏):1つは、先ほどお話した良い監督を見つけることです。例えば、マンチェスター・シティのジョゼップ・グアルディオラ監督やリバプールのアルネ・スロット監督が良い指揮官であるのは誰もが知る事実だと思いますが、優秀な監督を見つけるために、トップリーグだけでなく、アンダー世代の試合も見に行きます。そしてもう1つは、ネットワークの拡大です。スタジアムでは、代理人時代の知り合いを通じてクラブのスポーツダイレクターやUEFAの関係者などを紹介してもらう機会もあります。“Jリーグの人間”として代理人時代よりも、いろんな方々と繋がりやすくなった感覚はあるので、各クラブハウスを訪問するだけでなく、試合会場に足を運ぶ意味を感じます」

――「J.LEAGUE Europe」の拠点にロンドンを選んだ理由は何ですか?

「(秋山さん):今、ヨーロッパの中でも、特にプレミアリーグにはビジネスにおいて、資金や情報、人が最も集まっています。我々の目的を達成するためには、そのフットボールの中心的な街に拠点を置くことが1番適していると考えました。とはいえ、普段はヨーロッパ中を飛び回っています。欧州でよりスムーズかつスピーディーにクラブとの関係を構築していくために、南ヨーロッパにも人がいたほうがいいと考え、バルセロナにもスタッフを派遣しています」
 
――「J.LEAGUE Europe」が本格的に稼働して、すでに具体的な成果や手応えは感じていますか?

「(山崎社長):今年の夏にJリーグ約20クラブの関係者の方々と欧州クラブのキャンプを視察するためにオーストリアへ行きました。来年、Jリーグが秋春制に移行するなか、今回視察に行ったうちのいくつかのJクラブは、実際に来年の夏に欧州キャンプを実施してくれる見込みです。それが実現すれば、1つのクラブで選手やスタッフ約50~60人がヨーロッパのフットボールを体感できることになります。我々の働きかけによって、こうした具体的な行動変容に結びつくのはポジティブなことです」

「(秋山氏):これまで海外に目は向けてはいるものの、踏み出し方がわからなかったクラブや人は結構いたと思います。我々の活動が、そうした方々の第一歩をサポートできているという実感はあります。少なくともこれまでやっていなかったことを実際にやってみようというアクションは増えています」
 
――秋山さんは以前、集客などマーケティング面の強化もJリーグの課題として挙げられていましたが、ヨーロッパと日本の違いを感じる部分はどこですか?

「(秋山氏):それが良いか悪いかは別にして、日本でサッカーはまだ「文化」にも「ビジネス」にもなりきれていないと感じます。一方、ヨーロッパではフットボールが文化として根付いていると同時に、それをどうビジネス化するかという点で、ある意味ドライというか、割り切っている部分があります。リーグやクラブだけではなく選手の意識もビジネスとして同じ方向を向いているため、物事を進めやすい。

 例えば、クラブでマーケティング的に何か重要なイベントがあったとして、日本ではビジネスとして、選手が参加したほうがいい場合でも、コンディション面を考慮して強化部などが難色を示すことがあります。しかしヨーロッパの選手たちは普通に参加しており、コミュニティとの向き合い方も浸透しています」

――一方でJリーグが持つ、日本ならではの強みはどこにあると思いますか?

「(秋山氏):『安心・安全・安定』という点は日本の強みです。スタジアムの安全性や契約の安定性、世界には給料が支払われなかったり、スタジアムで暴動が起きたりすることがありますが、日本ではそれが極めて少ない。これは非常に大きなストロングポイントだと思います。夏のオフシーズンの時期に欧州のビッグクラブが日本でツアーを実施することがよくありますが、『安心・安全・安定』が大きな要因になっています。例えば他の国のほうが高い報酬を提示したとしても、日本が選ばれるのは、お金には代えがたい価値があるからだと思います」
 
――今後、「Jリーグインターナショナル」のネットワークを北中米や南米、アフリカなど、世界各地に広げる考えはありますか?

「(山崎さん):必要です。アメリカのMLS(メジャーリーグサッカー)はビジネス的にもサッカー的にも脅威ですし、南米に関しては有望な選手がどんどん輩出されるマーケットです。社名を『Jリーグインターナショナル』としているのは、ヨーロッパに限定せず、グローバルに展開したいという思いがあるからです」

「(秋山さん):例えばブラジルは、すでにJクラブがしっかりと関係を築けていると思いますが、まだ手薄であるアルゼンチンやパラグアイ、あるいはアフリカなどには可能性があると思っています。ヨーロッパで活動していると、アフリカ人選手の存在感の大きさを感じます。そのようにJクラブがまだできていない部分、やったほうがいいけれど手が届いていない部分を我々がサポートし、開拓していけたらと考えています」

――最後に「Jリーグインターナショナル」としての今後の展望を教えてください。

「(山崎社長):まだ始動1年目ですが、活動をしながらいろいろなアイデアが出てきていて、それを形にしている段階です。今後はビジネスやプロモーションなど、全方位で活動を広げていきたいと思っています。国内だけに閉じこもっているだけではいけません。ヨーロッパが皮きりではありますが、Jリーグ全体のことを考えて、もう1度アジアのマーケットを取りにいくことも重要です。『Jリーグインターナショナル』の活動をきっかけに、Jリーグの次の成長戦略への道筋を作り、10年後、20年後が明るくなるように、試行錯誤しながら見出していきたいです」

取材・文●中川翼(サッカーダイジェストWeb編集部)

【画像】どこもかしこもデザイン刷新! 世界各国の北中米W杯“本大会用ユニホーム”を一挙公開!

【画像】日本は何位? 最新FIFAランキングTOP20か国を一挙紹介!“アジア2位”が20位に浮上、トップ10から転落した強豪国は?

【記事】「許せない」「なんてひどい」イランのW杯組分け抽選会ボイコット問題、国民はアメリカのビザ発給制限に憤慨「めちゃくちゃにぶち壊した」 
配信元: SOCCER DIGEST Web

あなたにおすすめ