実は、このストレスこそがダイエットを難しくしている大きな原因です。
さらに、私たちが当たり前だと思い込んできた「痩せるための常識」には、多くの誤解があります。
カロリー制限や我慢をすればするほど、かえって太りやすくなる__そんな、従来の考え方が覆る事実があるのです。
「脳を満足させる食べ方をすれば、無理なく痩せやすい体に近づいていきます」
そう語るのは、心療内科医で脳疲労とダイエットの専門家である横倉恒雄先生。
この記事では、痩せたいのに食べてしまうその医学的理由と、臨床データでも高い結果が出ている「快食療法」の実践方法を紹介します。
あなたの体重は脳がコントロールしている!

ダイエットをしている人の大多数が、食欲のコントロールをいちばんのネックとしています。
「痩せたいけど食べてしまう」というのは、もはやダイエットトークの定番ともいえます。
なぜ、わたしたちは“痩せたい”と“食べたい”の間で葛藤してしまうのでしょうか。
「食欲のコントロールができずに自己嫌悪に陥る人の多くは、カロリー計算や食事制限、体重管理などをメインに実践することが多いのではないでしょうか。
そのような“従来のダイエット理論”は大きな誤解ですから、一度捨てましょう。
そこからが、本当のダイエットのスタートです 」(横倉先生/以下同)
横倉先生は、カロリーや体重などの数字にとらわれることを思い切って手放してほしい、と強く勧めます。
その理由は、食欲や満腹感をコントロールする“脳の働き”にありました。
「脳には食欲中枢や摂食中枢があります。
その乱れが、体重増加や脂肪蓄積を引き起こしているんです。
『痩せたいのに痩せられない』と悩んでいるなら、食欲をコントロールしている脳の状態を変えない限り、食事制限や運動を頑張っても根本的な解決にはなりません」
「ストレスを解消すると痩せる」は本当だった

横倉先生によると、ダイエットを成功させるためには、脳のストレスを取り除くことが最も重要だそう。
現代人は、仕事や家事、デジタル機器の多用などで常に多くの情報を処理し続けているため、脳が休まらず自律神経のバランスが乱れやすくなっています。
「脳は体全体の機能を調整する司令塔。ストレスが脳に大きな負担をかけてしまい、脳が正常に働けなくなると(下記の図右・疲弊脳の状態)、ホルモン分泌・自律神経・代謝がスムースにいかなくなり、食欲のコントロールを乱します。
その結果、『甘いものを過剰に食べたくなる』『満腹なのに食べ続けてしまう』といった行動が起こりやすくなるのです」

一方で、ストレスを適切にケアし心が穏やかな状態を保てていると(上記の図左・健幸脳の状態)、自律神経が整い心身ともに落ち着いた状態を維持しやすくなります。
「ストレスを大きく感じ脳に余裕がない”疲弊脳”では、食欲をつかさどる間脳が正常に働きません。(上の図・右側)
ストレスを小さく感じ脳に余裕がある、幸せな脳の状態“健幸脳”こそが、適正な体重を維持するために必要不可欠なことです」
摂取カロリーを抑えて消費カロリーを上げる__それがダイエットのすべてだと思っていませんか?
しかし実は、食欲や運動意欲をコントロールしているのは、脳なのです。
不健康な脳のままでは一時的に体重が減っても、またリバウンドしてしまいます。
「好きなものを食べても体重が変わらない人もいますし、自然界に太っている動物はいません。
それだけ人間が感じる脳のストレスは、体重や体型に大きく影響しているのです」
