カロリー制限やつらい運動を続けるリスク

横倉先生は、極端なカロリー制限や激しい運動を続けることのリスクについても警鐘を鳴らします。
「カロリー制限をし続けると、栄養が足りない状態が続くことになります。
すると脳は、命を守ることを優先して女性ホルモンの働きを弱めてしまいます。
その結果、卵巣がうまく働かなくなり、排卵が止まって無月経という状態になることもあるんです。
またホルモンの働きが弱まることで、子宮内膜症や子宮筋腫、骨粗しょう症など婦人科系の病気リスクも高まります」
過度なカロリー制限・激しい運動・強いストレスが続くことによる無月経は、マラソン選手やバレエダンサーなどのアスリートにも多いといいます。
また、ハードなランニングや筋トレ等をしないと痩せないと思い込んでいる人もいますが、実際は逆です。
「痩せるためにやっている運動は、痩せる効果が出にくいです。
でも、体を動かすことが好きでやっていれば、痩せられます。
それは、運動により脳が“快”を感じることで、バランスが整って健幸脳になり、食欲中枢が正常に機能するようになるからです」
脳を満足させる「快食療法ダイエット」とは?

快食療法ダイエットとは、横倉先生が提唱するダイエット法です。
これは、お腹が空いたときに、好きなものを選び、美味しく楽しく、心ゆくまで味わって食べるという考え方。
従来と真逆の方法で本当に痩せるのか、疑問に感じる人も多いのではないでしょうか。
実は、快食療法の効果は臨床データでも実証済みなのです。
データで見える快食の効果
横倉先生が日本産婦人科学会で発表した臨床実験では、参加者を快食療法、カロリー制限と運動療法、何もしないグループの3つに分け、1年間の変化を比較しました。その結果、体重・体脂肪率・中性脂肪のすべてで、もっとも大きく改善したのは「快食療法」グループでした。
カロリー制限と運動療法はごくわずか、何もしなかった人はほとんど変化がなかったという結果です。
快食療法は、97%の成功率でリバウンドもなかったとのことが、数字ではっきりと証明されています。

快食療法ダイエットのやり方
では、実際に快食療法ダイエットの具体的なポイントをお伝えします。難しいことやつらいことは一切ありません。
今日からできる「食事を正しく楽しむ意識」を実践してみましょう。
【朝食】
お腹が空いてから食べましょう。その代わり、お水を飲んでしっかり水分補給しましょう。
また、黒砂糖を摂るのもおすすめです。
黒砂糖は脳や体のエネルギー源として、速やかにブドウ糖に変わるため疲労回復にも効果があります。
午前中遅めに空腹を感じたら、朝昼兼用にしてもOKです。
【昼食】
夕食までのつなぎと捉えて、食べすぎて午後眠くなったりしない程度に摂りましょう。
おにぎり・そば・うどんなどが適しています。
【夕食】
空腹を感じてから食べると、さらに美味しさを感じます。
夜遅くなったからと食べないのはNG。
お腹が空き過ぎると脳が飢餓状態と捉えて溜め込んでしまうため、がまんせず食べましょう。
ただし「太るかも」という罪悪感は脳にストレスを与えるため、満足感を感じながら美味しく食べてください。
【間食】
空腹がストレスになりそうなら、遠慮なく食べていいです。
間食にも黒砂糖がおすすめです。
それでは満足できないという場合は、果物のリンゴやおにぎりを。
ケーキやお菓子を食べたいときは、がまんせず食べてOK。食べるときは“思いきり満足する”という意識が大切。ここでも、罪悪感は禁物です。

【快食のポイント】
スマホを見ながら、仕事や作業をしながらなどの“ながら食べ”はせず、視覚・嗅覚・味覚をしっかり使い、目の前の食事に集中して味わうことを大切にしましょう。
食べ物を箸でつかんだときの感覚や、舌で感じる食感も味わってみてください。
硬さや柔らさ、温度、水分など、食材を五感を使って感じることで満足感がぐっと高まり、脳が満たされます。
