今、若者の間でメッセージアプリの「ボイス返信」活用が急増している。文字を打つより録音して送った方が早い、いわゆる「タイパ至上主義」の波だ。人気インフルエンサーが日常的に使う姿がSNSで広ま
り、「感情が伝わるし、サクッと返せる」と若者の支持は厚い。
ところがこの便利ツールが、ビジネスの現場では「地雷」として扱われつつある。ある女性インフルエンサーは取引先から突然、広告契約の終了を告げられたという。
「あとから人伝手に理由を聞くと『ボイスメモは仕事の証拠として残りづらい。誠意がない』とのことでした。むしろ早く返そうと思ってやったのに…」
40代の広告代理店男性は、さらに手厳しい。
「仕事をナメてるのかと思いましたよ。言った言わないの世界で、音声だけ送ってくるのは危うい。こっちは社内共有もしなきゃいけないのに、音声なんて扱いづらいだけ」
また、30代のIT企業社員はこんな苦悩を語る。
「若手の後輩がよくボイスで送ってくるんですが、必要な部分を聞き直すのが面倒。それに移動中であれば、イヤホンしていないと聞けない。急ぎの連絡なら文字が当然です。『聞く時間も取ってくれないの?』と思ってしまう。テキストならコピペして議事録にも使えるのに…」
そんな「苦情」が渦巻く中で、ボイス送信を擁護するのは20代の映像制作会社スタッフだ。
「ボイスのほうが感情が伝わるし、誤解が減ると思う。上の世代が慣れてないだけではないですか」
Z世代には「文字を打つ」こと自体がひとつの負担であり、声の方が自然だと感じる人は多い。だが、ビジネスの現場は依然として「文字文化」が主流だ。結局、便利か失礼かは、相手の年齢と業界を読む空気力が全てといえる。
タイパ重視の時代でも、40代以上の取引先に送るなら、無難に文字で。若者文化をそのままビジネスに持ち込むと、予想外のしっぺ返しを食らうことになりそうだ。

