「たくさんいるんですけど、やっぱり大阪桐蔭高校の先輩のおかわりさんですかね、衝撃を受けたのは」
これは今季限りでユニフォームを脱いだ中田翔氏(元日本ハム、巨人、中日)の言葉である。プロに入って凄いバッターだと思った選手を野球解説者の上原浩治氏に問われると、高校の6学年先輩にあたる西武・中村剛也の名前を出したのである。
上原氏のYouTubeチャンネル「上原浩治の雑談魂」で、中田氏はその理由を説明した。
「マン振りをしてるようなスイングには見えないじゃないですか。自分の懐の中でインパクトを捉えているっていう感覚なので、打球も高いですし。なかなか上がったら落ちてない。やっぱりホームランバッターっていう打球を打ちますよね」
ただし、尊敬する中村の打撃理論は「話にならなかった」として、中田氏が続ける。
「僕が真剣に『どうやって打てばいいですかね』って聞いたら『う~ん、擦るだけ』って言うんですよ」とボールの下部をバットで擦る仕草を見せて。その『擦るだけ』で、この人に聞いてもダメだって。こっちとしては、細かいことを聞きたい。肘をどういうふうにもってきてます、とか。違うんすね。『上げればいいじゃん。擦るだけ』って。ダメだこの人、話にならんと思って」
中村の本塁打王6回は、王貞治氏の15回、野村克也氏の9回に次ぐ歴代3位。打点王タイトルは4回、獲得している。大阪桐蔭高校出身のプロ野球選手は他にも平田良介、浅村栄斗、森友哉といった強打者揃いだ。西谷浩一監督は「ボールを飛ばすパワーなら中田が一番。技術は断然、剛也です」と口にしていた。
通算3回の打点王に輝いた中田をもってしても、「おかわりくん」独特の天才理論は昇華させられなかったのである。
(所ひで/ユーチューブライター)

