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「視力を失っても競技続行」「サウナで1日4キロ減」64歳ボディビル界の伝説・合戸孝二“命ギリギリ”限界突破の世界

「視力を失っても競技続行」「サウナで1日4キロ減」64歳ボディビル界の伝説・合戸孝二“命ギリギリ”限界突破の世界

還暦を越えた今なお、肉体と精神を極限まで追い込むボディビルダー、合戸孝二さん(64)。昼食にはクロワッサン3個、さらに“1日4キロ痩せるサウナ活用術”など独自の減量法を生み出し、過度な減量で左目が失明の危機にさらされても「目なら一つで十分だ」と競技続行を選んだ、まさに“狂気の男”だ。

 

そんな数々の伝説を積み重ねてきた合戸さん。「生命の瀬戸際を感じてこそ真のボディビルダーだ」と語る美学の核心に迫った。(前後編の後編)

サウナで1日4キロ減、昼食はクロワッサンのみ…狂気の減量法

1995年、静岡県に自作の「マッスルハウスジム」を設立し、ボディビルダーとして本格始動した合戸さん。静岡県や中部大会も制覇する中、食事や減量法に関して“独自のスタイル”を生み出していった。

まず食事に関しては「好きじゃない減量食を食べるなら、好きなものを一つ食べて減量しろ」と語る合戸さん。その真意を聞いてみると、

「自分も最初のころは『高タンパク質×低糖質』を実践して、鶏ムネ肉やささみしか食べてなかったんだけど、減量メニューって全然おいしくない。パサパサしてるし、喉の通りも悪いし、なにより飽きちゃう…。だから食べたくないものを食べるより、自分の好きなものを一食だけ食べることにしたんだ」(合戸さん、以下同)

そこで合戸さんは、昼食に好物のクロワッサンを3個食べる食事法を実践。気分に応じてクロワッサンがイギリスパン1枚になることもあれば、ハーゲンダッツ1口に変わることもあった。

「自分は1日8時間のハードなトレーニングをしてるわけだし、クロワッサン3個食べても消費しちゃうわけよ」

独自の食事法はそれだけでは終わらない。通例なら大会直前は油ものを入れず、炭水化物を摂取してカーボアップを図るのが基本だが、合戸さんの場合は成分問わず、大会直前に好きなものを“バカ喰い”するという。

「大会出場後に“バカ喰い”した翌日、ものすごく身体の状態がいいことに気付いたんです。我慢していた三大栄養素を思う存分食べると、一気に身体が膨らんだ。それを大会1~2日前に実行してみたら成功したんです。でもそれには『もうこれ以上は落ちない』という極限まで身体を絞り切ることが前提条件になります」

では実際に、どのように身体を絞り切ったのか。

「サウナで7分を15セット行ない、2時間半で4キロ落としました。11セット目ぐらいからキーーンって耳鳴りがしてくるんですが、『大丈夫だよな、俺』と毎回自分に問いかける。他の人から言わせたら『命やばいですよ』ってラインまでもっていく。生命の危機を感じてこそ、真のボディビルダーなんですよ」

と、力強く語った。ただ、一般の方は健康を害する可能性が高いので、絶対に真似しないでほしい。

38歳で左目の視力の喪失、そして日本一へ

「身体って命の危険を感じたときに成長すると思うんです。自分はセーフティースクワットバーでも345キロを持ち上げますが、最初は100キロもいかなかった。まさに未知の領域だった。でも『ちぎれんじゃねえか』ってぐらい“命の瀬戸際”を感じる重さに挑み続けることが、筋肥大につながると思うんです」

筋肉について熱く語る合戸さんだが、健康かボディビルか、究極の選択を迫られたことがあった。

それは1999年の全日本選手権で4位入賞を果たし、初めての世界選手権に出場したときのこと。決戦の地はスロバキア。70キロ以下級で見事4位入賞を果たした合戸さんだったが、帰国時、左目に異変を感じていた。

「左目がアナログテレビの砂嵐のように、ザ――って全く見えなくなったんですよ。当初は『疲れ目だろう』と楽観視してましたが、嫁に勧められて病院を受診したところ、医者から『眼底出血してる』と言われたんです」

厳しい減量による栄養不足や過度なトレーニングにより、合戸さんの目は危険な状態に……。出血部分を焼ききるためレーザー治療を行ない、治療中はトレーニング禁止になったが……

「レーザーを打つときにこめかみに走る『バチン! バチン!』っていう刺激がどうしても我慢できなかった。それに医者に止められてもやっぱり言いつけを無視してトレーニングしてしまうんです。それで医者から『また出血してるんですけど……』って疑いの目をかけられる。それにどうせ治療しても0.01の視力しか保てないので、『それなら治療してもしょうがない』と3日で治療を拒否して、競技続行を選びました」

左目の視力よりボディビルを選んだ合戸さん。その決断に後悔はないか聞いてみると、

「全然後悔はないですよ。だって目ならもう一つあるんで」

そうして38歳のときに全日本に挑んでから6年後の2005年、44歳にして日本一に輝いた合戸さん。2007年から2009年にかけて3連覇も果たし、ボディビルダー界の頂点に君臨したのだった。

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