マイク・ブラウンを新HC(ヘッドコーチに)迎え、新たなスタートを切った今季のニューヨーク・ニックスは、シーズン序盤に3連敗を喫したものの、その後5連勝で盛り返し、12月3日時点で13勝7敗のイースタン・カンファレンス4位につけている。
連勝ストップ後は、勝ち試合が続かず不安定な期間となったが、11月24日のブルックリン・ネッツ戦から4連勝をマークした。
この間、オールラウンドな働きでチームを支えたのがジョシュ・ハートだ。2023年2月のトレードでポートランド・トレイルブレイザーズから加入したスウィングマンは、ジェイレン・ブランソン、ミケル・ブリッジズら、ビラノバ大時代のチームメイトとともに、昨季は不動の先発としてチームのカンファレンス・ファイナル進出に貢献。
ただ今季のプレシーズン初戦、スターターに彼の名前はなかった。その後、下背部を痛めて離脱を強いられ、キャリア9年目のシーズンをシックスマンとして迎えることになった。
開幕2戦目のボストン・セルティックス戦でシーズンデビューを飾ったハートは、約19分の出場ながらオフェンシブ・リバウンド6本を含む14リバウンドをあげ、ブラウンHCは「彼はモンスターだ。素晴らしいとしか言いようがない」と絶賛していた。
以降もベンチ出場が続いたが、11月中旬にOG・アヌノビーとランドリー・シャメットが揃ってケガで離脱したことが転機となった。
システム調整を迫られたブラウンHCは、24日のネッツ戦からハートを先発で起用。そこからは平均36分以上コートに立つと、2度のダブルダブルを含む平均17.0点、11.8リバウンド、7.0アシスト、2.8スティールと攻守にわたって躍動し、4連勝の立役者となった。
ハートは、22得点をあげた26日のシャーロット・ホーネッツ戦後に次のように語っていた。
「チームに求められることをしたまでだ。もちろん、このリーグで先発としてプレーすることには大きな意味がある。誰もが目指していることだからね。この3年間、ケガした時期もあったけど、スターターとしてプレーしてきた。だから(先発は)しっくりくる。コーチが今後も続けていきたいと望んでいるなら、自分にとってもパーフェクトだ」
その後ブラウンHCは「(ハートを)スターターから外したのは私のミス」と認めている。
「ジョシュはみんなのプレーを楽にしてくれる。新たなコーチの下、新システムの中でのシーズン序盤のロード3連敗を振り返ると、そのうち2試合の第4クォーターでジョシュは私の隣に座っていた。あれが正しい判断ではなかったことは、私が真っ先に認めるよ。彼はこのチーム、そして我々コーチングスタッフに、数え切れないほど素晴らしいことをもたらしてくれるのだから」 そして、そんな状況にも決して腐ることなく、コートに立てば求められる役割を懸命にこなすハートのプロフェッショナル精神を称賛した。
「(トレーニングキャンプの時に)文句を言ったり怒ったりすることもできただろう。しかし彼はそんなことはしなかった。自己犠牲とは何か、特にリーダーとして自分がそれを率先して示さなければならないことを理解していたからだ。
当時の私の判断が間違っていたにもかかわらず、彼はこの(チーム構築の)プロセスを信じてくれた。だから私は彼だけでなく、方向性を探っている間にも我々のスタンダードを守り続けてくれたチーム全員に敬意を表したい」
ブラウンHCが語る“スタンダード”とは、選手全員の署名とともにロッカールームに掲げられているチームの約束事で、『自己犠牲』『絆』『闘争心』『互いを信じること』が記されている。
28日にミルウォーキー・バックスを下した試合で、37得点をマークしたエースのブランソンは、19得点、15リバウンド、7アシストの働きをした旧友に、”試合を左右する存在”と期待を込めた。
「彼はオフェンスでもディフェンスでも良いプレーをしていた。彼は今とても良いリズムに乗っている。その状態を維持してほしいね。彼は僕たちにとってキーパーソンと言える存在で、チームがやろうとしていることにおける“Xファクター”なんだ」
“ロールプレーヤー”の枠に収まらない貢献度を示すハートの先発復帰は、好調のニックスにさらなる勢いを与えそうだ。
文●小川由紀子
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