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橋本千紘が同世代Sareeeとの激闘で見せた“10年の集大成” 超満員の王座戦で示した「ライバルの存在」という強み

橋本千紘が同世代Sareeeとの激闘で見せた“10年の集大成” 超満員の王座戦で示した「ライバルの存在」という強み

今年の女子プロレス界は上谷沙弥の独走状態のように見えたものの、とはいえ“上谷一色”でもなかった。試合のインパクトという意味では、上谷に劣らない選手たちもいる。

 そのひとりがセンダイガールズ(仙女)の橋本千紘だ。レスリング出身、若手時代からトップレベルの活躍を見せてきた橋本は、今年デビュー10周年。3月には引退を控えた里村明衣子との名勝負を制し、優宇とのタッグ・チーム200キロも絶好調。必殺技オブライト(ジャーマンスープレックスホールド)をあえて封印し、ラリアットやパワーボムでフィニッシュすることで試合ぶりの幅、それに迫力も増した感がある。
 
 11月16日、後楽園ホールでの10周年記念大会はチケット完売、バルコニーまでぎっしり埋まる大盛況となった。橋本の対戦相手はSareee。橋本とともに現在の女子プロレスを代表する選手だ。

 昨年、女子プロレス大賞を受賞したSareeeは、今年に入ると再びスターダムに乗り込みIWGP女子王座を獲得。自主興行も常に満員で、業界トップクラスの活躍を続けている。

 2人は自他ともに認める最高のライバル。アメリカ・WWEと契約していたSareeeが帰国して最初に開催した自主興行でも、対戦したのは橋本だった。そして今回は橋本の10周年記念大会。両者の合意で、センダイガールズのワールド王座を懸けた試合になった。

 ライバルというのは、絶対に負けたくない相手であると同時に、認め合っているということでもある。プロレスというジャンルでは、信頼関係があるからこそ思い切った攻撃ができる側面もある。今回も互いの攻撃にまったく遠慮がなかった。相手はそれを正面から受ける。試合のボルテージが上がるのも当然だった。

 Sareeeはエルボー、ドロップキック、ダイビングフットスタンプ。橋本はタックル、ラリアット、コブラツイスト、俵返し。シンプルだからこそ、2人の技がどれだけ磨き抜かれたものなのかが分かる。

 Sareeeは橋本のパワーボムをカウント2で返し、橋本はSareeeのリストクラッチ式裏投を食らっても3カウントを許さず。死力を尽くしての闘いは、橋本が久しぶりに出すオブライトでガッチリとホールドして終わった。ここで出すしかないという完璧な一発だった。

 試合後、観客からの橋本コールに「これ以上(コールを)聞くと泣いちゃうので」と橋本。4年前の7月、やはりメインで王座を防衛したがコロナ禍で客足が遠のき、エースとしての責任を感じて泣いていた。しかし今回は超満員だ。 里村の引退ロードで盛り上がった仙女。橋本たちの闘いは、その盛り上がりを一過性で終わらせなかった。里村引退後もゼビオアリーナ仙台でのビッグマッチを成功させるなど好調が続いている。橋本が目指すのは、日本武道館大会の開催だ。

「この先も(Sareeeと)もっともっと強さを高め合って、スターダムに負けないくらい女子プロレスを熱くさせます」
  そう語る橋本に、Sareeeは「私はな、どんな時もお前に負けないように頑張ってるんだよ。負けて本当に悔しい。でも10周年おめでとう。闘ってくれてありがとう」。

 エンディングでは所属選手全員がリングに上がり、円陣を組んで飛躍を誓った。

「仙女のみんながいてここまで来れたし、みんなで武道館を目指したい。私ひとりの10周年興行ではないので」(橋本)

 Sareeeについては、改めてインタビュースペースでこう表現していた。

「Sareeeみたいな強さを求める選手が同世代にいるのは一番の強みだと思います。私もまだまだ強くなろうと思えるし、同志だと思っているので」

 橋本だけでも、Sareeeだけでも、この高みにはたどり着けなかったはずだ。Sareeeというライバルがいることは橋本の強み。我々から見れば、橋本千紘とSareeeがいることが日本マット界の強みだ。

取材・文●橋本宗洋

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配信元: THE DIGEST

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