
南米アマゾンの密林に潜む巨大ヘビ「アナコンダ」。
その神秘的な巨体は、映画や伝説で恐れられ続けてきました。
しかし、アナコンダがいつ、なぜこんなに大きくなったのか、長らく科学界でも謎に包まれていました。
そんな中、英ケンブリッジ大学(University of Cambridge)の最新研究によ理、「アナコンダは約1200万年前にはすでに巨大化していた」との新事実が明らかになりました。
研究の詳細は2025年12月1日付で科学雑誌『Journal of Vertebrate Paleontology』に掲載されています。
目次
- アナコンダが巨大化した時代とその背景
- 絶滅を乗り越えたアナコンダの「しぶとさ」
アナコンダが巨大化した時代とその背景
アナコンダが巨大化していたのは「中新世中期(約1240万年前)」と呼ばれる地球史の一時代です。
当時の南米大陸は、今よりもはるかに温暖な気候と広大な湿地に覆われており、カピバラや巨大ワニ、巨大カメといった多くの巨大動物たちが暮らしていました。
ケンブリッジ大学などの研究チームは、ベネズエラを中心とした南米各地で発見されたアナコンダの化石化した椎骨183個(最低32個体分)を詳細に分析。
さらに現生のアナコンダの体長データや、近縁のボア科ヘビ類の系統樹情報も組み合わせることで、化石種と現生種の比較が行われました。
その結果、アナコンダは約1240万年前の時点ですでに体長4〜5メートルに達しており、現代の個体とほぼ同じ大きさであったことが明らかになりました。
チームは「これは驚くべき結果だ。かつては、より温暖だった時代にはさらに大きな個体がいたと考えられていたが、証拠は見つかっていない」とコメントしています。
絶滅を乗り越えたアナコンダの「しぶとさ」
中新世の終わりとともに地球の気温は徐々に下がり、広大な湿地や森林も減少していきました。
この変化は、同時代の巨大ワニ「プルサウルス」や巨大カメ「ストゥペンデミス」など、多くの“巨人”たちを絶滅へと追いやりました。
しかし、アナコンダはその後も絶滅することなく、巨大な体を保ったまま現代まで生き延びています。
研究者たちは、アナコンダが絶滅せずに巨大さを維持できた理由として、「食物競争の少なさ」や「生息地の多様性」を挙げています。
彼らは主に沼地や大河川でカピバラや魚などの大型獲物を捕食し、他の大型捕食動物が増えてもサイズを縮小させる必要はなかったようです。
また、気温の変化にも意外なほど強い“しぶとさ(レジリエンス)”を見せてきました。
進化の初期において、豊富な食糧と広い生息域がアナコンダを巨大化させた一方で、その後の環境変動や生物間競争の影響は、それほど大きくなかったことが今回の分析から示唆されています。
巨大なヘビが森や川に潜む姿は、私たちの想像力をかき立てます。
アナコンダの“1200万年変わらぬ巨体”は、かつての地球にどれほど豊かな生態系が広がっていたかを今に伝える貴重な証人でもあります。
絶滅の波を乗り越え、生きた化石として現代に息づくアナコンダ。
そのたくましい進化の歴史は、私たちに生物多様性の奇跡と地球環境の変動のドラマを静かに語りかけているのです。
参考文献
Anacondas became massive 12 million years ago — and it worked so well, they haven’t changed size since
https://www.livescience.com/animals/snakes/anacondas-became-massive-12-million-years-ago-and-it-worked-so-well-they-havent-changed-size-since
Fossils reveal anacondas have been giants for over 12 million years
https://phys.org/news/2025-12-fossils-reveal-anacondas-giants-million.html
元論文
An early origin of gigantism in anacondas (Serpentes: Eunectes) revealed by the fossil record
https://doi.org/10.1080/02724634.2025.2572967
ライター
千野 真吾: 生物学に興味のあるWebライター。普段は読書をするのが趣味で、休みの日には野鳥や動物の写真を撮っています。
編集者
ナゾロジー 編集部

