プロ野球解説者にとっては、今季も「厳冬のオフ」となっている。テレビ、ラジオそしてスポーツ紙などを含む解説陣の来季の枠は、今季以上に「少数精鋭」の方針となるからだ。
日本のプロ野球は、民放局の地上波放送が、
「日本テレビですら、巨人戦の生中継は数えるほどしかない。配信が主力になっています。それでも影響力のあるOBは、喉から手が出るほどほしいですよ」(プロ野球中継ディレクター)
その意味では来年の解説者枠の「大物」のひとりは、巨人2軍監督を電撃退任した桑田真澄氏だ。イースタン・リーグでは2位に8ゲーム差をつけて優勝。スローガンはというと、
「1軍に選手を供給することと、調整するアシストをすること。なにより強調していたのは、桑田氏自身が2軍選手を育成することだった。これを柱にしていたから」(球界OB)
ところが、足りない選手には猛練習を課す「スポ根指導」を推奨しているのが、1軍の阿部慎之助監督。桑田氏と水と油の関係になった結果が、今回の退団劇だった。桑田氏本人がその真相を激白すれば、大きな話題になるのだが…。
そんな大物に、なぜか解説者としてのオファーが全くないという。
「読売グループとしても、何を言い出すかわからない桑田氏は使えないとして、他媒体に『解説者・桑田』を斡旋しています。巨人の有力OB、ポスト阿部の一番手の声もあった桑田氏にとっては、厳冬というより屈辱のオフですよ」(巨人OB)
プロ野球解説者のギャラは年々、カットされるばかり。民放局地上波が全盛期の頃は1試合100万円を払ってでも呼ばれた有力OBがおり、年間契約なら数千万円が相場だった。
「テレビではNHKも1試合10万円は払っていないんじゃないですか。民放局なら5万円、ラジオや新聞なら3万円が相場です」(前出・球界OB)
巨人側が桑田氏に用意したポストは「国際部」だった。これを蹴った形だが、ユニフォームにこだわりがあったという桑田氏のリベンジの道はやはり、巨人以外の球団での指導者復帰しかないようだ。
(小田龍司)

