鈴鹿8時間耐久ロードレースで2度勝利しているLCRホンダのヨハン・ザルコだが、2026年のスケジュールがこのままではMotoGPライダーの鈴鹿8耐参戦は難しいと考えている。
2024年にホンダ陣営のLCRに移籍したザルコは、同年に初めて鈴鹿8耐に参戦。高橋巧、名越哲平とチームを組み、初参戦で勝利した。そして2025年も引き続き鈴鹿8耐に参戦し、今度は不慮の事態から高橋巧と2名体制で鈴鹿8耐を戦うことになった。
厳しい暑さの中、2名体制は体力面でより苦しくなることは明らかだった。しかし高橋とザルコはふたりで、同じMotoGPライダーのジャック・ミラーを擁するヤマハファクトリーチームを下して再び鈴鹿8耐を勝利した。
2025年の鈴鹿8耐はザルコとミラーというふたりのMotoGPライダーの存在が大きな話題となり、実際に世界最高峰を争う彼らの限界を攻める予選アタックは多くの観客を楽しませた。
しかし2026年の鈴鹿8耐では、MotoGPライダーの走りを見ることは難しくなるかもしれない。この2年はMotoGPのサマーブレイク期間の開催だった鈴鹿8耐が、MotoGPのシーズン前半の隙間の週末に加わる予定だからだ。
現在報じられている2026年の鈴鹿8耐開催日程は、今年よりも1ヵ月早い7月5日決勝となっている。MotoGPは前週の6月26~28日にオランダGPが、そして鈴鹿8耐後の7月10~12日にはドイツGPが予定されている。
もしMotoGPライダーが参戦するとなれば、MotoGPから休む間もなく鈴鹿8耐を走り、さらにそのまま次のグランプリにトンボ返りで出場する形だ。体力的に厳しい鈴鹿8耐が敬遠される可能性は十分考えられる。
MotoGP日本GPを控えたザルコに、こうしたスケジュールの場合なら、鈴鹿8耐への参戦はどうなるかと尋ねると、彼は「問題になる」と答えた。
「その伝えられているスケジュールのままかは分からないけど、EWC側が鈴鹿8耐へMotoGPライダーの参戦を望むのなら、日付は移す必要があるだろう」
ザルコはそう語る。
「MotoGPのグランプリ2戦の間に、鈴鹿8耐のようなレースをすることになれば、MotoGPライダーのパフォーマンスには問題をもたらすことになると思う」
「不可能じゃない。でも、パフォーマンスは下がるだろうね」
MotoGPライダーの鈴鹿8耐参戦は、この2年の大会の盛り上げに一役買ってきた。他にもフランチェスコ・バニャイヤ(ドゥカティ)など、かつて鈴鹿8耐で勝っているバレンティーノ・ロッシの弟子筋からは鈴鹿8耐への興味アリと伝えられているが、現状では彼らの参戦は実現しないかもしれない。
ただ鈴鹿8耐は年々暑さを増す日本の夏開催の厳しさに対し、日程変更の必要性も指摘されていた。したがって、再びMotoGP夏休み期間の8月に戻すこともまた問題になりかねないため、EWCとしても頭が痛いところだろう。

