思い出深い地で躍動した。
フィギュアスケートの世界一決定戦「グランプリ(GP)ファイナル2025」が名古屋・IGアリーナで開幕した。初日はペアショートが行なわれ、“りくりゅう”こと三浦璃来/木原龍一組が77.32点で首位に立った。
世界王者が貫禄のトップスタートだ。冒頭のトリプルツイストは鋭い回転をみせ高さも圧巻。続く3回転トウループは2人のタイミングが僅かにずれ、かつ回転不足の判定となったが、グループ5リフトはりくりゅうの特長であるスピードを存分に発揮。高さも十分で、最高評価のレベル4を獲得した。「練習をたくさん積んできた」というスピンはレベルの取りこぼしがなく、最後のデススパイラルも高評価。円熟味が増したペアの地力を発揮した。
演技後、満面の笑みがこぼれた三浦は9月のCS木下杯以来となる日本での試合について「緊張感はありましたけど、すごく落ち着いて楽しく臨めた。本当に私たちらしい滑りができた」と振り返った。隣で聞いていた木原も「すごく安心して落ち着いていた」と笑顔で見合わせた。
今大会の舞台である愛知・名古屋はペア結成時にトライアウトを実施した思い出の地。三浦は「名古屋で滑らせていただくことは本当に幸せ」と感慨深く振り返る。地元でもある木原は名古屋のファンに改めて感謝を述べた。
ミラノ・コルティナ五輪の前哨戦ともいえる大会で、全ペアが70点超え。特に上位3組は75点以上をマークするハイレベルな争いになった。追われる立場になるが「あまりそういうのを考える暇はなかった」と木原は話し、「今日は(後半グループが)3組しかいないので、1組が終わってすぐ靴を履き直して準備しないといけなかったので準備完了したのがギリギリだった。ファイナル特有のサイクルだったので、もう気づいたら6分間練習が終わって靴を脱いですぐ氷に戻って。気づいたらもうエンディングでした」と笑った。
3年ぶり2度目の優勝を射程圏内に捉えた。「明日(5日)のフリーも狙い過ぎずに、自分たちがやってきたことをしっかり出せればいい。できなくても自分たちのやってきたものがなくなるわけではないので、焦ることなくやりたい」と木原は自然体を強調。言葉に力を込め、三浦もうなずいた。
最後まで“りくりゅう”らしく、氷上で笑顔溢れる滑りを2人は誓う。
▼GPファイナル ペアショート結果
1位 三浦璃来/木原龍一 77.32点
2位 サーラ・コンティ/ニッコロ・マチー(イタリア) 77.22点
3位 アナスタシア・メチョルキナ/ルカ・ベルラワ(ジョージア) 75.04点
4位 マリア・パブロワ/アレクセイ・スビアチェンコ(ハンガリー) 72.84点
5位 ミネルヴァ・ファビアン・ハーゼ/ニキータ・ボロディン(ドイツ) 71.68点
6位 ディアナ・ステラトデュデク/マキシム・デシャン(カナダ) 71.07点
取材・文●湯川泰佑輝(THE DIGEST編集部)
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