トランプ氏は米中を「G2」関係とSNSに投稿
さらに秋には中間選挙を控えている。最近はトランプ関税の余波などから米国民も物価高に苦しむようになり、大統領の支持率は下降トレンドだ。中間選挙に負ければ、残りの大統領任期でも急速に影響力を失って「レームダック」になることを恐れている。
トランプ氏は米中を「G2」関係ともSNSに投稿していて、「来年は世界トップ2で大きなディールをするのだから、『弟分の日本は黙ってついてこい。邪魔するな』ということなのだろう」と日本の外交関係者は冷静にみている。
頼りになるはずの世界最強の同盟国が頼りない。だったら国内に目を向けてみるとどうだろうか。伝統的に日中関係は「党外交」が大きな役割を果たしてきた。
中国は共産党が支配する国だ。共産党が中国政府を指導するという関係のため、「党外交」が力を発揮する余地が大きい。
歴史をみれば、1972年の日中国交正常化の過程では、公明党が大きな役割を担った。正常化に向けて日中が交渉に入る前には、公明党の生みの親で支持母体の創価学会の池田大作会長が「公明党が中国との外交関係樹立のため架け橋になる」と宣言。周恩来氏と会談を重ね、田中角栄総理の訪中への道筋をお膳立てした。
2大パイプを失った高市総理
中国では「水を飲む時には井戸を掘った人を忘れるな」という格言がある。周恩来氏はその格言を引用して池田氏や日本の経済人など民間レベルで日中国交正常化に汗をかいた人への感謝を忘れないように伝えていた。
そのため、公明党の歴代幹部は中国共産党に太いパイプを持っていたとされ、山口那津男元代表など公明幹部が訪中をすれば、必ず共産党の序列上位、ときには習近平氏が対応することさえあった。
自民党ではどうか。超党派の日中友好議員連盟の会長を長く務めたのが二階俊博元幹事長だ。中国政府はもちろん、共産党にも深いパイプがあったとされ、現職の幹事長時代は毎年のように訪中した。その際には、多くの日本の財界関係者を引き連れていき、民間交流の後押しもした。
会談相手も習氏をはじめ、共産党の序列2位、3位など必ず上位者が二階氏には対応。中国軍機による日本領空への領空侵犯や、福島原発の処理水の問題など両国間の懸案も、二階氏は総理親書をもって訪中し、双方が忌憚なく意見交換することで、政府間の外交関係を党側から支え続けた。

