
元天才ヴァイオリニスト・青野一が、海幕高校オーケストラ部の仲間たちと苦楽を共にし、青春のアンサンブルを奏でるアニメ「青のオーケストラ Season2」(毎週日曜昼5:00-5:25、NHK Eテレ/ABEMA・dアニメストア・ディズニープラス・Hulu・Leminoほかで配信)。その第9話が11月30日に放送された。今話では、海幕高校による「バッカナール」の演奏がフルバージョンで描かれ、部員たちの心理描写も相まって視聴者を釘付けにした。(以降、ネタバレが含まれます)
■部の全員で作り上げた「バッカナール」
今話もっとも視聴者を魅了したのは、海幕高校オーケストラ部による「バッカナール」の演奏シーンだ。最初は静かに始まり、酒宴らしいにぎわいを見せたのち、サムソンの怒りを表現するような力強い演奏へ。静と動のコントラストも各パートの音色も素晴らしく、まるでコンクールの客席に座っているかのような気分にさせられた。
滝本かよ(CV.渕上舞)や佐久間優介(CV.神谷浩史)、青野(CV.千葉翔也)らの回想も演奏を盛り立てた。医学部への進学を強く希望する、母親からの重圧に悩み続けた滝本。後悔の記憶から、遠慮なくものを言う人物へと変わった佐久間。父親に対する複雑な感情を抱え続ける青野。それぞれが苦悩や葛藤と向き合い、乗り越えてきた軌跡が、演奏と重なって観る者の胸を強く揺さぶった。
オーケストラ部の演奏をフルで見せるという演出は、視聴者にも大好評。SNSには「こんなにアニメで鳥肌立った事ない。素晴らしい演奏だった」「セリフが一言も入らず一曲全部やり切ってくれる青のオーケストラ推せる!」「演奏パート何回も見ちゃった…」「演奏中の青野くんの表情めちゃ良い!!」など、絶賛のコメントが数多く寄せられた。
緊張感あふれる演奏のあとには、青野と佐久間のほっこりするやり取りも。自販機でドリンクを買おうとした青野は、小銭が足りずに困っていたが、佐久間が足りない分の小銭を足してくれた。他校の演奏が上手く聴こえると不安を口にする青野に、佐久間は「自分の手ごたえを信じてもいいんじゃないか」と返す。一時は険悪ムードが漂っていた2人だが、日ごとに心の距離が縮まっているようだ。

■部長の涙、滝本の涙
そして、結果発表の時がやって来た。海幕高校はライバル校・仙丈高校と共に、上位校に与えられる“ゴールド金賞”を受賞。その仙丈高校が優秀賞に選ばれ、青野たちは思わずハッとする。最優秀賞に輝いたのは海幕高校だった。悲願の9連覇を果たした部員たちは歓喜と感動に沸き立ち、筒井俊樹(CV.金子誠)は涙を溢れさせながら賞状を受け取るのだった。
コンクール終了後、筒井は皆の前に立って話し始めるが、ここでも感極まってしまい羽鳥葉(CV.浅沼晋太郎)にバトンタッチ。ひとしきり話し終えた羽鳥は、滝本を呼び寄せる。申し訳なさをにじませた表情で、2ndヴァイオリンのパートリーダーを福留心美(CV.井上ほの花)に交代すると話す滝本。しかし、羽鳥から事情を聞いていた部員たちは、滝本に花束をプレゼント。思わず泣き出す滝本を、佐久間は微笑みながら見つめていた。
2年生が見せた泣き笑いの名場面に、視聴者からは「部長泣きすぎ~と思いながら、私も泣いてる…青春」「涙脆い筒井部長かわいかった」と共感のコメントが続々。オーケストラ部の活動に区切りをつけた滝本に対しては、「辛いけど、周りの理解も得られてよかった。もらい泣きしてまうやろ」と寄り添う声も見られた。

■青野と佐久間のやり取りにほっこり
目標だった最優秀賞を獲得し、コンクールの緊張から解放された部員たちは、ファミレスでの打ち上げへ。これまではひとりでステージに立ってきた青野にとって、部活の皆が参加する打ち上げは初めての体験。少しの興奮を胸に、1年生同士でおしゃべりに花を咲かせていると、青野のもとへ滝本がやって来て佐久間が褒めていたと耳打ちする。
その直後、ドリンクバーで当の佐久間と鉢合わせた青野。代替わりしたらリーダーは青野になるかもしれないと言う佐久間に、褒められたのだとニヤリとする青野だったが、やはり佐久間の方が一枚上手だったようだ。「君がその気ならオケ部についてとことん語り合おうか」と切り返された青野は、「お手柔らかにお願いします」と返答するほかなかった。
青野と佐久間の絶妙なやり取りに、SNSには「打ち上げの『青野君って俺の事好きなの?』がほんと好きだわ…」「青野と佐久間先輩はある意味名コンビだ笑 これからも絡みあるといいな~」との声も。名コンビとなりつつある2人は、コンクールという大きな節目を越えて、今後どんなドラマを紡いでいくのか。期待は膨らむばかりだ。
◆文=帆刈理恵(スタジオエクレア)

