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水上恒司、3人の“もっと汚い部分”が見たい「キラキラした姿を知っているからこそ、裏側にすごく興味がある」<WIND BREAKER>

水上恒司、3人の“もっと汚い部分”が見たい「キラキラした姿を知っているからこそ、裏側にすごく興味がある」<WIND BREAKER>

水上恒司&木戸大聖&綱啓永&JUNON
水上恒司&木戸大聖&綱啓永&JUNON / 撮影=梁瀬玉実

にいさとるによる、連載からわずか4年で世界累計発行部数1000万部超えの人気コミック『WIND BREAKER』が実写化され、12月5日(金)より公開される。主演の桜遥役を務める水上恒司をはじめ、木戸大聖、綱啓永、そして本作が映画初出演となるJUNON(BE:FIRST)が集結。熱い絆で結ばれた仲間を演じた彼らが、作品の魅力や役作り、そして唯一無二のチームワークが生まれた撮影の裏側を語り尽くしてくれた。

■原作ファンだからこそ挑む、実写化への覚悟とキャラクターの核

原作は「週刊少年マガジン」公式アプリ「マガジンポケット」で連載中。孤独な不良高校生・桜遥が、街を守る集団「防風鈴(ボウフウリン)」の一員となり、仲間との絆を通して成長していく姿を描く。ヤンキー漫画の新たな地平を切り拓く物語として、幅広い層から支持を集めている物語だ。

――それぞれが演じられたキャラクターについて、ここは特に見てほしいというポイントを教えてください。

水上恒司(以下、水上):僕が演じる桜遥の“気持ちのうつろい”が、この物語の核になっています。彼はすごく未熟で、至らない部分をたくさん抱えている。でも、仲間と出会うことで少しずつ変わっていくんです。この作品は、僕ら防風鈴側だけでなく、敵対する獅子頭連側にも彼らがそうするに至った理由やドラマがしっかり描かれています。

それぞれのキャラクターが抱える未熟さや葛藤を見て、皆さんがご自身の日常と重ね合わせて何かを感じてくれたら嬉しいです。「いや、俺はこう生きたい」という反発でもいい。そうやって心を動かす魅力を持ったキャラクターだと思います。

木戸大聖(以下、木戸):僕が演じた楡井秋彦は、桜にとって初めての仲間であり、友達になる存在です。なぜ彼が桜の心を開くことができたかというと、やっぱりその素直さだと思うんです。

自分の足りない部分を自覚しながらも、憧れや興味に対してまっすぐに行動できる。強い人を見てデータを集めたり、桜に喧嘩のやり方を教わりにいったり、そういう裏表のない素直さが彼の魅力なのかなと思います。

綱啓永(以下、綱):蘇枋隼飛は、いつも飄々としていて冗談ばかり言っている男です。でも、仲間がやられた時には、相手を徹底的に叩きのめすような激情的な一面も持っている。「優しい人ほど怒ると怖い」という言葉がありますが、蘇枋はまさにその典型。その二面性を表現するために、彼の内側にある熱い気持ちを常に心に持ちながら演じることを意識しました。

JUNON(以下、JUNON):僕が演じた杉下京太郎は、防風鈴の総代・梅宮(一)先輩(上杉柊平)を心から尊敬し、崇拝しているようなキャラクターです。普段はどこか後ろからみんなを見守っているような立ち位置ですが、桜との出会いなどを機に、感情を爆発させることが多くなります。でも、その中でも梅宮さんに見せる純粋な表情やまっすぐな言葉が、彼の最大の魅力だと思います。

――これだけファンが多い人気原作を実写化するにあたり、出演が決まった時はどんなお気持ちでしたか? ワクワクが大きかったですか? それともプレッシャーが?

水上:キャスト一同、原作とアニメに対するリスペクトは同じだと思います。その上で、2次元のものを3次元の生身の人間が演じるにあたって、何が違ってくるのか、という点は非常に意識しました。

漫画やアニメだからこそ通用するものと、人間が演じるからこそ生まれる生々しさやノイズがある。その“人間の荒さ”や“未熟さ”みたいなものを大事にしながら、それが作品の深みになるように、見るに値する作品にするにはどうしたらいいか、ということをすごく考えました。

木戸:これまでになかった新しいタイプの不良漫画が実写化される、その一員になれるということに、何よりもワクワクしました。もちろん、にい先生が描かれた素晴らしい作品を映像化する責任も同時に感じていましたけど、個性豊かなキャラクターたちをどんな役者さんたちと作り上げていくのか、それが2時間の物語としてどう表現されるのか、台本をいただくまでずっと想像を膨らませていました。

綱:ワクワクでした! 僕自身が原作のファンだったので、役者としてのプレッシャーはもちろんありましたが、それ以上に嬉しさが勝ちました。いわゆる少年漫画の実写作品に出るのが初めてだったので、原作ファンの方々はもちろん、初めてこの作品に触れる皆さんにも満足していただけるような蘇枋隼飛を作らなきゃいけないと、クランクイン前から燃えていました。

JUNON:世間的に「実写化」はすごく難しいものだと思いますし、原作を愛している人ほど、様々な印象を持っていると思います。僕自身、初めての映画出演ということもあり、不安も大きかったです。でも、純粋に原作が好きでしたし、アクションへの憧れもあったので、最終的にはワクワクする気持ちが1番大きかったですね。

■互いが明かす意外な素顔 「もっと“汚い部分”が見たい」

――楡井は強い人のデータを収集していましたが、皆さんが共演されて、お互いについて収集した意外な一面があれば教えてください。まずはJUNONさんについていかがですか?

綱:いつも笑っているよね。世間的にはクールな印象を持っている方が多いと思うんですけど、全然そんなことなくて。楽しいことが大好きで、いつも笑っているなっていう印象です。

木戸:うん、あったかい人だよね。優しい。

水上:役者って、メディアを通して見ると大体「いい人そうだな」とか「優しそうだな」って見えるんですよ。僕らは、ある種“汚い部分”を見せないようにしているところがあるので。だからJUNONさんの、そういう印象よりも、むしろ人間として間違っている部分とか、もっと“汚い部分”が見たいなって思いました。

昔の役者さんには、どこか危険な匂いを孕んだ魅力的な人がいた。そういう深みが役にも投影されると思うので、JUNONさんのそういう一面を僕はもっと見たいです。

――では、水上さんはいかがでしょう?

木戸:最初は現場で1人もくもくと本を読んでいて、全然掴めなかったんです。でも、一度スイッチが入ると、これでもかというくらい周りの人をいじってきます(笑)。お笑いやふざけることがたまらなく好きなんだなというのが伝わってきました。

年上の(上杉)柊平くんにもガンガンいっていましたし(笑)。でも、芝居になるととことんこだわる。アスリートみたいなストイックな顔もあれば、コメディアンな部分もある。それが水上恒司という人間なんだろうなと思います。

綱:こんなに明るくておちゃめな面を持っている人だとは全く思ってなかったので、びっくりしました。先ほど「自分が見せるべきものと見せなくていいものがある」というこの仕事との向き合い方について聞いて、僕が画面越しに持っていた印象と実際の彼が違ったので、すごくクレバーな人なんだなと思いました。

JUNON:本当に、掘れば掘るほど色々出てきそうな人。初めて現場でお会いした時、監督とすごく真剣に話し合っているのを見て、「結構ピリついた現場になるのかな」って、むしろ少し怖かったんです。でも実際はこんなに面白い方だったので、そのギャップに感心しました。

――次は木戸さんについてお願いします。

水上:もっと木戸さんの“汚いの”を見たいなと思いました(笑)。いい部分がたくさんある人だからこそ、その逆が見てみたい。僕より年上なのに、僕の演じる桜に対して後輩の役を成立させるって、すごく難しいことだと思うんです。それができる素晴らしい役者さんだからこそ、もっとダーティな部分も見てみたいですね。

綱:色で言うと黄色やオレンジという印象ですね。明るくて、包み込んでくれるような温かさがあります。ラフさとフランクさがありますよね。

JUNON:大聖くんは、どこに行っても馴染んでいるというか。いつ仲良くなったんだろうって思ったら「さっき」みたいな(笑)。大らかな優しさが楡井をやったときにそのまま出ていて、すごく楡井を見ている気持ちになりました。とてもそれが印象的でした。

――では最後に、綱さんについてお願いします。

水上:いや、本当にこの人の“汚い部分”が見てみたい(笑)。だって、他の作品でステージに立って、観客を魅了しながら歌っているんですよ。そのキラキラした姿を知っているからこそ、その裏側にあるものにすごく興味があります。

木戸:(水上に)嫉妬してるじゃん(笑)。でも、啓永は見た目に反して中身はコメディアン。何にでも突っ込めるし、ボケ倒すし、彼がいると現場がずっとキラキラ笑っている感じ。初対面の時からすごく話しやすかったです。

水上:色でいうとバーガンディかな(笑)。

JUNON:なんでもそつなくこなせるイメージです。普段はふざけている部分もたくさん見るんですけど、SNSに流れてくる写真はめちゃくちゃイケメンだし、TikTokの流行りにも一番詳しい。かと思えば、撮影の合間にストレッチしていたり、見えないところですごく努力している。色々な一面があって面白いです。

■「背中で語る」座長・水上恒司が作ったチームワーク

――水上さんは今回、座長という立場で、特に同世代のキャストを率いる上で意識したことはありましたか?

水上:座長という立場は、周りの方々が僕の意見を尊重し、取り入れようとしてくれる、すごく影響力のあるポジションです。だからこそ、その力はよほどのことがない限りは使わないようにしようと決めていました。僕がやるべきことは、言葉ではなく行動で見せること。1つ1つの芝居、1つのセリフに魂を込めて臨む姿を、座長として見せていく。同世代のキャストが集まる現場だからこそ、その姿勢はより意識しました。

――皆さんから見た、座長としての水上さんはいかがでしたか?

木戸:とても頼もしかったです。常に先頭に立って、僕ら俳優部とスタッフさんたちの間にいるというよりは、僕らの先頭でスタッフさんたちと分け隔てなく接している感じ。緩急というか、やるときはやる、という彼のスタイルがみんなを引っ張ってくれたんだと思います。さすが座長です。

綱:本当に大きい背中でした。役についてスタッフさんと深く話し合ったり、一人で自分の世界に入って集中していたり、すごくストイック。そういう人が真ん中にいると、「俺も頑張ろう」「支えられるところは支えなきゃ」って自然に思わせてくれる。そんな座長でした。

JUNON:現場はすごく温かくて和気あいあいとしていたんですけど、その中でも水上さんの、役への向き合い方や行動が、みんなの気を引き締めてくれていたと思います。その存在があったからこそ、より良い作品ができた。本当に大きな存在でした。

■“戦友”たちと語る「仲間」の定義、そして物語に込めた想い

――この作品は「仲間」が大きなテーマです。皆さんにとって「仲間」だと思えるのはどんな人ですか?

綱:「いいやつ」ですね。僕の中では「いい人」と「いいやつ」は全然違うんですけど、自分が「こいつ、いいやつだな」って思えたら、仲間になりたいと思います。

JUNON:友達としてなら許容範囲は広いんですけど、「仲間」となると、自分が苦しい時に同じ目標を持って、同じ視座に立ってくれる人ですね。

木戸:つらいことを共有できる人。自分が抱えていることを話せるし、それを一緒に乗り越えていける。そういう人が仲間だと思います。

水上:一緒に苦しい思いができる人ですね。そういう人たちのためなら、一緒に地獄に落ちることができる。それくらい見返りを求めずに愛情を注げる存在が、仲間なんじゃないですかね。この作品の撮影を乗り越えたキャストやスタッフは、そういう意味で「戦友」だと思っています。

――最後に、この作品を楽しみにしている方々へメッセージをお願いします。

水上:この作品を観たら、きっと自分が大切に思う仲間や友達に会いたくなるはずです。防風鈴や獅子頭連、キャラクターたちの関係性を見て、自分にとって大切なものは何かを改めて見つけるきっかけになるような、そんな作品になったと思います。ぜひ、劇場で彼らの生き様を見届けてください。

◆取材・文=磯部正和/撮影=梁瀬玉実/ヘア&メーク=白石真弓(水上)、石邑麻由(木戸)、富樫明日香(CONTINUE)(綱)、大城祐樹、マキノナツホ(from hiji)(JUNON)/スタイリスト=能城匠(TRON)(水上)、佐々木悠介(木戸)、三宅剛(綱)、安本侑史、槌田有希(JUNON)/衣装協力=DIESEL(水上)、Jeanik、PT TORINO (木戸)、THE VIRIDIANNE、Licht Bestreben(JUNON)

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