西武ライオンズが巨人から戦力外通告を受けたアンダースロー右腕・高橋礼の獲得調査を進めている。
今オフの西武は、いつもと違う。FA取得選手の獲得参戦を見送ることが多く、外部補強にはあまり熱心ではなかった。ところが今オフはFA市場で日本ハムから石井一成、DeNAからは桑原将志を獲得。同じ年に2人を獲ったのは球団史上初だ。
「高橋の獲得もほぼ間違いありません。西武は牧田和久(現ソフトバンクコーチ)、與座海人とアンダースロー投手を抱えてきたので、そのノウハウを持っています。高橋を復活させられると踏んでいるようです」(スポーツ紙記者)
「補強に積極的なチーム」に変貌させた原因は何か。3年連続Bクラスの屈辱はあろう。日本一からは2008年以来、遠のいている。危機意識はもちろんだが、これには米FA市場で大人気となっている今井達也が大きく影響しているようだ。
米スポーツ専門局ESPNによれば、今井は6年総額1億3500万ドル(約206億5500万円)の大型契約になるとの予想が。これが的中すれば、今井の獲得に成功したメジャーリーグ球団はポスティングシステムのルールに従い、2212万ドル以上の譲渡金を西武に支払わなければならない。日本円にして、約34億円。
プロ野球選手会などが発表した今季のチーム別年俸ランキングを見ると、西武の平均年俸は3318万円で12球団ワースト。チーム総年俸は31億2000万円でパ・リーグ6位、12球団全体では10位だった。
今井を手放すことで、今季のチーム総年俸を上回る譲渡金を得られる計算だ。今井の喪失は戦力的に見て大きな痛手だが、外部補強に積極的になれるのは当然だろう。
「石井、桑原ともにリーダーシップをとれる選手です。西武は本当にいい選手を獲ったと思います」
ライバル球団のスタッフからは、そんな声が聞かれた。さらに戦力的な話をすれば、西武は高橋光成のポスティングシステムでのメジャー移籍も許している。今井、高橋の両先発投手の今季の合計投球イニング数は311回2/3。「高橋礼は育成スタートになる」との情報もあり、肝心の投手補強はまだ進められていない。ドラフト2位の岩城颯空(中央大)、同4位の堀越啓太(東北福祉大)が期待されているが、彼らだけでは不十分だ。今後も「今井マネー」を元手に、大物投手を獲得するのだろう。
チーム総年俸を上回る譲渡金…。プロ野球実行委員会ではクライマックスシリーズのルール改定の議論が始まったが、ポスティングシステムについても、見直す必要があるかもしれない。
(飯山満/スポーツライター)

