12月7日、秋のダート王決定戦となるチャンピオンズカップ(GⅠ、中京・ダート1800m)が行なわれる。
一昨年、昨年と本レースを連覇したレモンポップが引退、種牡馬入り。米国のブリーダーズカップ・クラシック(G1)で歴史的勝利を収めたフォーエバーヤング(牡4歳/栗東・矢作芳人厩舎)と、帝王賞(JpnⅠ)を制したミッキーファイト(牡4歳/美浦・田中博康厩舎)も不在となり、やや手薄な感は否めないが、それでも急激に力を付けた若駒や、ベテランの実績馬が顔を揃え、馬券的にはとても面白い一戦となった。
今年のメンバーの特徴は、逃げ・先行馬が多いこと。単勝1番人気が予想されるナルカミ(牡3歳/美浦・田中博康厩舎)をはじめ、ダブルハートボンド(牝4歳/栗東・大久保龍志厩舎)、ウィリアムバローズ(牡7歳/栗東・上村洋行厩舎)、ペプチドナイル(牡7歳/栗東・武英智厩舎)などがその対象で、基本的に中京のダート1800mは前へ行く馬に有利な傾向が強いコースではあるものの、数頭が先陣争いを繰り広げるとなると、かなりのハイペースになるのは必至。またマイペースに持ち込めなかった逃げ馬が、意外な脆さを露呈するケースも少なくない。その点から見ると、狙い目は自在性を持った差し馬、ということになる。
主軸に期待したいのは、全兄にフェブラリーステークス(GⅠ)2連覇を果たしたカフェファラオを持つルクソールカフェ(牡3歳/美浦・堀宣行厩舎)だ。勝ち上がりまで時間を要したが、昨年11月に初勝利を挙げてからは4連勝。その後、米国のケンタッキーダービー(G1)は12着に大敗したが、5か月ぶりに実戦となったジャパンダートクラシック(JpnⅠ)を5着とし、前走の武蔵野ステークス(GⅢ)は4番手から突き抜け、2着に3馬身半(0秒6)もの差を付けて快勝した。
ルクソールカフェのストロングポイントは、先行から追い込みまでこなす脚質の自在性と末脚の切れ。武蔵野ステークスでは、余裕のある手応えで上がり3ハロン34秒9を計時。中京コースは初めてになるが、東京で3勝を挙げているように左回りに問題はなく、距離の1800mは2戦2勝。今回が初来日になるフローレン・ジェルー騎手はアメリカを拠点に活躍しており、ダート競馬は自家薬籠中のもの。GⅠ未勝利で未知の部分は多くても、それはルクソールカフェにとっては伸びしろの大きさと読み替え得るとみて主軸に推す。 対抗にはGⅠ未勝利ながら、めきめきと力を付けてきたアウトレンジ(牡5歳/栗東・大久保龍志厩舎)を抜擢する。出世するまでに時間を要したが、昨年11月の浦和記念(JpnⅡ)で重賞初制覇を遂げると、今春の平安ステークス(GⅢ)にも勝利。そして特筆すべきは7月の帝王賞(JpnⅠ)の好走で、逃げ込みを図るミッキーファイトを猛追し、タイム差なしのクビ差まで追い詰めた。GⅠでも能力は引けを取らず、逃げ・先行争いを目の前に見ながらレースを進められる展開の利もあることから、上位に浮上する可能性は高いと見る。
3番手には一昨年、昨年と本レースで2着しているウィルソンテソーロ(牡6歳/美浦・高木登厩舎)をピックアップする。前走のJBCクラシック(JpnⅠ)の大敗(5着・2秒2差)や追い切りの動きの緩慢さをもってピークアウトしたという言説も流れているが、その前のマイルチャンピオンシップ南部杯(JpnⅠ)での4馬身差圧勝を忘れてはならない。6歳といえば日本のダートホースにとっては一線級で十分に戦える年齢。昨年並みに走れる能力と態勢にあると見る。
連下候補の穴馬としてクローズアップしておきたいのは、初ダートだった前走で2着してファンを驚かせたシックスペンス(牡4歳/美浦・国枝栄厩舎)。スプリングステークス、毎日王冠、中山記念と芝のGⅡを3勝している能力は折り紙付き。それだけに矛先をダートのマイルチャンピオンシップ南部杯へ向けてきたのは意外だったが、そこで3~4番手をキープし、ウィルソンテソーロにこそ4馬身(0秒6)の差を付けられたが、しっかりと2着を確保した。強豪ひしめくGⅠ(JpnⅠ)戦でのその走りは及第点で、一度経験した今回は上積みが臨めるだろう。本馬の当面の目標は、名匠・国枝栄調教師にとって現役最後のGⅠ参戦になるであろう来年のフェブラリーステークスだろうが、陣営にとってもそこへのステップとして重要な一戦となるはずだ。
強力な逃げ馬2頭、ジャパンダートクラシック(JpnⅠ)の覇者ナルカミと、みやこステークス(GⅢ)をレコード勝ちしたダブルハートボンドは、お互いに折り合って進んだ場合の押さえとしてマーク。以下、JBCクラシック(JpnⅠ)で2着に食い込んで衰えのないところを見せたメイショウハリオ(牡8歳/栗東・岡田稲男厩舎)、昨年の東京ダービー(JpnⅠ)を圧勝したラムジェット(牡4歳/栗東・佐々木晶三厩舎)、昨年のフェブラリーステークス(GⅠ)勝ち馬であるペプチドナイル(牡7歳/栗東・武英智厩舎)までを押さえとしたい。
文●三好達彦
【画像】長澤まさみ、見上愛、松本まりか...全国の競馬場を盛り上げた“美人女優たち”を紹介!
【記事】「感動、衝撃、心配」SNS騒然のジャパンC、計3頭の落馬に空馬が先頭ゴール、驚異のレコード決着…「色々カオスなレースだった!!」

