マクラーレンは、タイトル争いが決着する最終戦アブダビGPに向けていかなるチームオーダーについても話し合っていないという。そして、ポイントリーダーであるランド・ノリスは、自らの勝利のためにチームオーダーを求めるつもりはないと語っている。
3人のドライバーがチャンピオンの権利を残してアブダビに乗り込んでおり、マクラーレンはノリスが首位。表彰台を獲得すれば、自力で戴冠を決められる状態だ。16ポイント差のランキング3番手に、オスカー・ピアストリがつけている。チームとしては当然、ノリスと12ポイント差のマックス・フェルスタッペン(レッドブル)にはタイトルを渡したくないと考えているだろう。
一方で、マクラーレン・レーシングCEOであるザク・ブラウンとチーム代表のアンドレア・ステラは、タイトル争いの権利を残している限りは、ふたりのドライバーを平等に扱うと主張してきた。しかしアブダビGPの決勝レースで例えばフェルスタッペンが首位を、ノリスが表彰台圏外を走っている状況、つまりフェルスタッペンにタイトルを奪われそうなケースで、ピアストリがノリスの戴冠をサポートできるような場合、チームオーダーが下される可能性は否定できない。
しかし、マクラーレンの両ドライバーはチームオーダーに関する話し合いは行なわれていないと明かし、ノリスは、もしそのような状況が生じた場合には、決定権はピアストリにあると述べた。
「いいや、まだ話し合っていない。正直に言えば、そうなると嬉しいね。だけどそれを頼むようなことはしないと思う」
ノリスはそうチームオーダーについて語った。
「それを許可するかどうかはオスカー次第だ。必ずしも僕が決める必要はないと思っている」
「逆の場合も同じだ。喜んで受け入れるかどうか? 個人的には受け入れると思う。いつもそうしているし、それが僕の性格だから。だけど僕が決めることじゃないし、要求するつもりはない」
「フェアな質問じゃないと思うし、要求はしたくない。同時に、マックスが勝ったりしてもそれはそれだ。彼を祝福して、来年を楽しみにするよ」
「何も変わらない。(フェルスタッペンが勝っても)僕の人生が変わるわけじゃないし、彼の方が僕たちよりもふさわしかったってことだろうからね」
ピアストリもこれに同意し、そのシナリオについて考える前にマクラーレンがチームオーダーの状況を明確にするのを待っていると述べた。
「それについて話し合ったことはないね」とピアストリは認めた。
「僕に何が期待されているかがわかるまでは、答えは出せない」
「ジュニアカテゴリーで、チャンピオン争いの反対側にいた経験があるので、その時の気持ちはよく分かる。本当に辛かった。3人の中で一番可能性が低い立場で挑むのは、僕にとってそれとは全く違う経験だ」
「カタールGPのおかげで、良いパフォーマンスができるという自信がついた。もちろん、今週末にチャンピオンになるには、いくつかの出来事が起こる必要があるけど、とにかく適切なタイミングでその場にいて、どうなるか見守るだけだ」
前述したように、ノリスは3位以上ならライバルの結果にかかわらずチャンピオン獲得を決められる。ピアストリについては彼が優勝した場合ノリスが5位以下、彼が2位だった場合はフェルスタッペンが3位以下、ノリスが9位以下でチャンピオンという条件となっている。

