
伝説の侍、坂田銀時……ではなく、やる気ゼロの高校教師・坂田銀八(CV:杉田智和)と、おなじみの「銀魂」キャラクターたちが生徒となって繰り広げるなんでもありな学園コメディ「3年Z組銀八先生」(毎週月曜24:00-24:30、テレ東系列ほか/ABEMA・dアニメストア・ディズニープラス・Hulu・Lemino・TVerほかで配信)。11月17日に放送された第7講は、年末恒例の大掃除回。しかし、懐かしの『週刊少年ジャンプ』の誘惑や、各所での暴走、さらには体育館裏から危険物が発見されるなど、全く掃除が進まないカオスな展開が描かれた。(以下、ネタバレを含みます)
■掃除中の「ジャンプ」は最大の罠!職員室で読みふける教師陣に共感の嵐
物語は、銀八が「大掃除」ならぬ「ビッグクリーニング」を宣言するシーンからスタート。銀八は、生徒たちのモチベーションを上げるために「全国の高校で埋蔵金が発見」という記事が載った「日本経済タイムス」を見せるが、実際には怪しいタブロイド紙「銀スポ」だった。それでも「一攫千金」をチラつかせ、掃除の分担を発表する銀八。桂小太郎(CV:石田彰)は家庭科室、近藤勲(CV:千葉進歩)ら風紀委員はトイレ、柳生九兵衛(CV:折笠富美子)と東城歩(CV:遊佐浩二)は教室のワックスがけ、そして新八(CV:阪口大助)、神楽(CV:釘宮理恵)、長谷川泰三(CV:立木文彦)は体育館裏の草むしりを命じられる。
冒頭から、近藤が「うんこの神様」「しっこの神様」といった小学生レベルの下ネタで爆笑し、土方十四郎(CV:中井和哉)に呆れられるという平常運転ぶり。そして何より視聴者の共感を呼んだのは、職員室での銀八の姿。デスク周りの掃除をしようと思ったところ、古い『週刊少年ジャンプ』を見つけてしまい、ついつい読みふけっていたのだ。さらには、そこにやってきた教頭(じい、CV:平野俊隆)までもジャンプを手にしてしまい、「そういう理由でルフィは旅に出たのか」「シャンクス、腕が!」など、連載開始から30年近くが経つ『ONE PIECE』の展開に衝撃を受けるなど、大人たちも漫画に没頭。これにはSNSでも「掃除中に読み始めたら終わり、これ宇宙の真理w」「今さらシャンクスの腕に驚く教頭www」「銀スポ懐かしい!」「表紙のパロディが細かすぎて一時停止した」など、共感とツッコミの声が殺到した。

■各所で勃発するカオスな掃除風景、ローションとバケツと不発弾
ハタ校長(CV:坂口候一)に冬のボーナスカットをほのめかされた銀八は、重い腰を上げて生徒たちの見回りへ。しかし、行く先々でカオスな光景が広がっていた。家庭科室では、桂がドイツ製の洗剤を紹介する謎の実演販売ショーを開催。トイレでは、沖田総悟(CV:鈴村健一)がバケツを振り回す「バケツローリングフェスタ」なる遊びで土方に水をぶっかけ、近藤も巻き込んでの喧嘩に発展。さらに教室では、東城が「ワックスより滑りがいい」という理由で大量のローションを床にぶちまけ、ヌルヌルの地獄絵図を作り出していた。一方体育館裏では、真面目に草むしりをする新八の横で、神楽は定春(CV:高橋美佳子)に乗って遊び、長谷川は茂みで見つけたエロ本に夢中。そんななか、定春が地面から錆びついた金属製の筒を掘り当てる。「埋蔵金だ!」と色めき立つ銀八たちだったが、新八が「これ、不発弾じゃないですか?」と指摘すると、全員が蜘蛛の子を散らすように逃走。結局、警察を呼ぶ事態となるのだった。
中盤は、各キャラクターの持ち味が爆発するショートコントの連続。桂の天然ボケ、真選組(風紀委員)トリオの仲の良い喧嘩、そして東城の変態紳士ぶりと、ファンが見たかった絡みがてんこ盛りだ。特に、トイレ掃除での近藤、土方、沖田の3人によるコントの雰囲気は、まさに『銀魂』ファンが求めていたものだろう。「バケツローリングフェスタ」という謎の必殺技(?)で土方を煽る沖田と、それにマジギレする土方。この3人のしっかりとした絡みは本作では久しぶりで、懐かしさと安心感を与えてくれる。SNSでも「久しぶりにこのトリオのわちゃわちゃが見れて泣きそう(笑いすぎて)」「バケツローリングフェスタってなんだよw」「待って、最後ザキ(山崎)がカバディやってなかった?w」といった声が多く見られた。
■ハードボイルドな男・小銭形平次が登場!爆発オチからの病院送り
通報を受けて現場に現れたのは、ハードボイルド同心……ではなく、爆発物処理班の小銭形平次(CV:石井康嗣)と、部下のハジ(CV:比嘉久美子)。土方と東条も加わり、なんとか爆弾を処理しようとするが、定春が爆弾を咥えて激しく振り回し始める。パニックになる一同だったが、蓋が外れて中から出てきたのは手紙。そう、これは不発弾ではなく、かつてハタ校長が学生時代に埋めたタイムカプセルだったのだ。「君を知ってから微熱が続いている男」と書かれた痛々しいラブレターが衆目に晒され、ハタ校長の黒歴史が暴かれたところで一件落着……かと思いきや、そうはならなかった。定春が再び地面を掘り起こすと、今度は本物の不発弾を発見。銀八たちが「え?」と固まった瞬間、体育館が吹き飛ぶほどの大爆発が巻き起こったのだった。
終盤の見どころは、なんといっても小銭形平次のキャラクターだ。『銀魂』でもおなじみの小銭形だが、ハードボイルドなBGMで登場するだけで笑いが取れるのは彼くらいだろう。登場するなり「マスター、カミュ。おかわり」と酒を注文し、銀八に「いや、俺、マスターじゃないんで」と冷静に返されたかと思えば、タバコを吸おうとする銀八を殴り、自分は思いっきり葉巻を吸うなど、ハードボイルドな雰囲気とは裏腹にポンコツっぷりが全開。シリアスな劇画調の顔でどこまでもボケ倒す彼と、それに振り回される銀八たちのやり取りが面白い。そしてラストは、全員仲良く包帯姿で病院のベッドに並ぶシーンで締めくくり。「ギャグアニメの爆発では死人が出ない」というお約束もさることながら、ベッドには爆発よりも前に帰っていたはずの小銭形までがいて、「いや、おめえも怪我してたのかよ!」という総ツッコミで終わるという、怒涛かつ気持ちの良いオチだった。SNSでは「ここで小銭形かよ!BGM懐かしい」「不発弾かと思ったら校長の黒歴史とか、ある意味爆発物だわ」「結局爆発して病院送りw これぞ銀魂」と、最後までカオスな展開を楽しむ声で溢れていた。さて次回第8講「旅の恥はかき捨てって言うけど、なるべくなら恥はかきたくないもんだ」は11月24日に放送予定。次回のレビューもお楽しみに!
◆文/岡本大介


