
画像は、連続テレビ小説『とと姉ちゃん』完全版ブルーレイBOX2(NHKエンタープライズ) (C)NHK
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運命的な再会!←結婚ルートかと思いきや?
※この記事は、現在再放送中の『とと姉ちゃん』のネタバレを含みます。ご注意ください。
再放送をきっかけに、ふたたび注目を集めているNHK連続テレビ小説『とと姉ちゃん』。そんな本作で特に印象に残るのは、ヒロイン「小橋常子(演:高畑充希)」と「星野武蔵(演:坂口健太郎)」の恋の行方ではないでしょうか?
お互いに惹かれ合い、運命的な再会を果たしたふたりは、なぜ結ばれなかったのか……。いまもその結末にモヤモヤを抱える視聴者は少なくありません。
ヒロインの常子は、小橋家3姉妹の長女で、11歳のときに父を亡くして以来、「とと」の代わりに家族を支えてきました。一方、星野は植物学者を志す帝大生で、新種の植物探しに熱心になるあまり、よく不審者に間違えられる生粋の植物オタクです。常子との出会いも、はじめは不審者に間違えられたことがきっかけでした。
もともと奇人変人感の強かった星野ですが、常子を異性として意識し出してからは、その個性がさらに際立つようになります。常子におでこを触られただけで激しく動揺したり、彼女のハンカチを見つめてひとりでニヤニヤしたり……。好青年ながら色恋沙汰に慣れていない姿は、視聴者にとってもほほ笑ましいものでした。
そして急遽、大阪の研究室へ行くことが決まった際には、思い切ってプロポーズに踏み切った星野でしたが、常子はこれを断ります。星野の妻になる道ではなく、「とと」の代わりとして家族を支える道を選んだのです。
とはいえ決して星野に脈がなかったわけではありません。彼は常子の父「小橋竹蔵(演:西島秀俊)」と字こそ違えど同じ「たけぞう」という名前を持ち、性格もどこか通じるものがありました。さらに、いざというときは身体を張って守ってくれる優しさもあり、実は常子もまた彼に密かな恋心を抱いていたのです。
だからこそ15年後、ふたりが運命的な再会を果たした際には、多くの視聴者の胸が高鳴ったのではないでしょうか? 「ついに結ばれるのでは?」と期待した人も少なくなかったはずです。実際、このエピソードは関東地区で最高視聴率25.9%を記録しており、当時の盛り上がりを物語っています。
久しぶりに再会した星野は、一男一女のパパとなり、妻には先立たれていました。その妻は死の間際に「再婚してほしい」と言い残しており、子供たちも常子に懐いています。状況だけを見れば、結婚に向けて物語が進んでいるように思えましたが、結局ふたりが結ばれることはありませんでした。星野は子供たちとの時間を優先するため、名古屋への転勤を決意し、自ら常子に別れを告げたのです。
星野は常子の父に似ているだけでなく、常子自身にも重なる部分を持っていました。他者のために身を尽くすところは、まさに常子と同じです。だからこそふたりは自然と惹かれ合ったのかもしれません。
そう考えると、好き合っていながらも「誰かのために生きること」を優先し、別れを選んでしまうのは、実にふたりらしい決断だったといえるでしょう。しかしそれは同時に、長い時間ふたりを見守ってきた視聴者にとってあまりにも切なすぎる結末でした。
そもそも常子のモデルとなった雑誌「暮しの手帖」の創刊者、大橋鎭子さんは生涯独身を貫いているため、常子と星野は結ばれない運命だと感じていた人も少なくありません。それでも放送当時のネット上には「史実と違ってもいいから、ふたりには結ばれてほしかった」という声が多数見受けられ、いかに多くの人がこの別れに深い喪失感を抱いたことがうかがえます。
ちなみに現在再放送中の『とと姉ちゃん』は、まだ件(くだん)のエピソードには至っていません。ふたりの悲恋をふたたび見届けた後は、ヒロインたちが数年ぶりに再会し、喜びのハグで終わる『おかえりモネ』を視聴するといいかもしれません。
