「悪いことはやらないで」と言ってきた
東京へ上京した福地容疑者。そこで家族との連絡が次第になくなっていった。母や祖母は「悪いことはしてないよね」と何度も福地容疑者に尋ねたものの、「元気にやっているよ」としか返事はなかった。ただ、年に2〜3回は実家に顔を見せていたという。
母と祖母の期待を裏切るように福地容疑者は、2023年に逮捕される。2021年、仲間と共謀し「保険に入った方がいい」とうその電話をかけ、山梨県在住の60代女性から現金240万円を騙し取る事件を起こしたのだ。
去年の11月のこと、福地容疑者が実家に日帰りでふと戻ってくる。ただ、足や手にタトゥーが入っており、祖母と母が「消しなさい」と伝えた。
「これまでタトゥーが入ってたことはなく、自分で東京で入れたんだなと思いました。足の甲には筆記体の英語のタトゥーが入っていた。今回のニュースで準暴力団と関わりがあったと報道されており、東京に行ったタイミングでガラの悪い人たちと付き合ったんだなと感じました」(母)
「タトゥーを見たときに驚きました。『やめろ』『消しな』と強く言ってしまい、孫(=福地容疑者)は『うん』とのみ答えました。その後、両親から2個消したと聞き、素直で言うことを聞く孫はまだいたと安心しました」(祖母)
ただ、同じ月に福地容疑者は一連の強盗事件とは関係ない傷害事件で逮捕されることになる。福地容疑者らは24年9月に、知人男性を複数人で暴行し、顔の骨などを折るケガを負わせた疑いが持たれていた。福地容疑者らが成田空港から韓国へ出国しようとしていたところを、千葉県警によって身柄を押さえられた。
この事件で押収したスマホから、一連の強盗事件を指示した痕跡が見つかり、今回の逮捕に至った。
福地容疑者らは、「手の指を思いっきり逆に曲げろ」「住所は知ってる。家族をさらうぞ」などと脅し、実行役に強盗を指示した疑いがある。福地容疑者らが起こしたとされる18件の広域強盗事件は、被害総額は2000万円以上に上り、24年10月に横浜市青葉区で起きた事件では、住人の70代男性が暴行を受け死亡している。
母は最後にこう語った。
「言葉……もう何も言葉にならないです。大人になって、常日頃から『そういうことは、悪いことはやらないで』と言ってきたので。裏切られたかって言ったら、何て言っていいかちょっとわかんないですけど。信じていたので。裏切られたっていうのもありますけど、信じたいという気持ちもありますし。本当に申し訳ございません」
警察は福地容疑者の余罪は他にも多くあると見て、捜査を続けている。
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取材・文/集英社オンライン編集部ニュース班

