田久保眞紀前市長(55)の学歴詐称疑惑が、市議会解散と市長失職にまで至った静岡県伊東市。出直し市長選がついに12月7日に告示される。復活を狙う田久保氏に加え、今年5月の市長選で田久保氏に敗れた小野達也元市長(62)、そして田久保・小野両氏から距離を置く“第三極”を掲げた杉本憲也前市議(43)らが立候補を表明し、すでに候補が9人と乱戦の様相を呈している。名誉毀損罪で起訴・勾留中の立花孝志NHK党党首(58)も留置場から出馬するのではないかとの観測もあり、混乱が収拾するかは依然見通せない。
田久保氏や小野氏とともに注目される第三の候補
「立候補予定者向けの説明会には12陣営が参加しました。立候補表明は今9名ですが、この中には説明会に来ていない人もおり、まだ増える可能性だってあります」
そう伊東市議の一人が説明する。9人でも歴代最多の候補者数だ。「投票数の4分の1を得ないと当選にならないので、これに届く候補者がおらず再選挙になる可能性もあります」と市職員は指摘する。
年をまたいで続くかもしれない“田久保劇場”の余波。始まりは5月、市長選で3選を目指した小野元市長を一騎打ちで下したことで始まった。
「市南部の伊豆高原が地元の田久保氏は、地元のメガソーラー建設反対運動の中心人物として知られ、小野市政が進めた40億円超の新図書館建設を止めるという公約を掲げ逆転勝ちしました」(地元記者)
ところが翌月には学歴詐称が発覚。関係者に「チラ見せ」した東洋大の卒業証書と称するものを公開しない姿勢が非難を浴び、市議会は全会一致で田久保氏市長の不信任を議決。田久保氏は市議会を解散し抵抗したが、出直し市議選の当選者で構成された新たな市議会にも不信任を議決され、ついに10月31日に市長室を追われた。
こうして迎えた今回の市長選。市の政界事情に詳しい建設業者が構図を解説する。
「田久保さんは『私にしかできないことがある』と支持者に向けてずっと言ってきたし、公職選挙法違反容疑などで複数の告発も受けていて“普通の人”になれば捜査の手が迫ってくるかもしれないので、“あきらめる”ことはないでしょう。
小野さんは5月の市長選で自民、公明と連合静岡の推薦も背に組織選挙を展開しましたが無所属の田久保さんに負けました。不人気のため自民党も次は候補者を変えるのではないかとみられた時期がありましたが、結局また自民党は小野さんでまとまりました。
いっぽう、この間のごたごたで『小野もダメ、田久保もダメ』という声が出る中、市議だった杉本氏が出直し市議選に出馬せず早々に市長選出馬を表明し、国民民主党と連合静岡の推薦を取りつけています」(建設業者)
市議、市民の見立ては…
情勢はどうか。保守系市議のA氏の見立てはこうだ。
「田久保氏は辻立ちを最初の方にやっただけで、今はネットを主戦場にしてガチャガチャやってるだけ。市外の人からの支持はあっても、その人たちに選挙権はありません。田久保氏の周りでは熱狂的な一部支持者を除き、田久保氏の代わりにダークホース的存在の会社役員の黒坪則之氏(64)を推そうという動きもあるみたいです。
私は事実上、小野、杉本両氏の一騎打ちと見ています。どちらも真偽不明のネガキャンが始まっていますが、さしたる影響があるとは思えないですね」(A市議)
町の空気はどうか。50代女性、Aさんは「たくさんの方が出るのですべての方の詳細はわからず、顔が思い浮かぶのは小野さん、田久保さん、杉本さんの3人です。前の市長選では私は小野さんが嫌で田久保さんに入れました。ですが、今回はさすがに田久保さんには入れようと思いませんからね……。今回は杉本さんかなとは思っています」と話した。
60代の男性Bさんは「現実的に考えると当選しそうな1番手は小野、2番手は田久保、3番手は杉本」と分析する。
「内部で揉めたものの結局小野さんが出ると言い張って自民党から出ることになりました。自民党の票がほとんど小野さんに行くと考えれば、それだけで当選する可能性が高いでしょう。
田久保さんは図書館建設を止めただけで、あとは自分の問題で騒いでただけ。でも良くも悪くも伊東市を有名にしたし政治を考えさせるきっかけにはなった。フタを開けたら田久保さんの返り咲きっていうのもなくはないんですよ」(Bさん)
小野元市長を推すという40代男性Cさんは「色々噂はありますけど、小野さんは地域向けの商品券をやったりして商店の人たちには恩恵がありました。田久保さんは自分の前の市長である小野さんを否定したいがためにその商品券も廃止し、『もっと長い視点での経済効果を考えている』と言っていましたが、何もやっていないです」と話した。

