
19位・湘南に復調の兆し。原点回帰でJ1残留へ。鈴木章斗は「気づくのが遅いかもしれないけど、やり続けるだけ」
9月23日、湘南ベルマーレはJ1第31節で川崎フロンターレとホームで対戦した。
28分、ロングボールから右サイドで起点を作られ、クロスから脇坂泰斗のヘッドで失点。80分には自陣でのパスミスでカウンターを受けた流れから、伊藤達哉のボレーで被弾した。83分にセットプレーから舘幸希のプロ初ゴールで1点を返して勢いを強めるも、追いつくことはできず、1-2で敗れた。
川崎戦の敗北で湘南はリーグ戦で5連敗。5月11日のJ1第16節・東京ヴェルディ戦(2-0)の勝利以降、15試合で白星がなく、降格圏(18~20位)の19位に沈んでいる。最低限の目標であるJ1残留へ、非常に困難な状況だと言える。
それでも試合後、選手や監督は下を向かなかった。川崎戦の出来に一定の手応えを得られたからだろう。
山口智監督は川崎戦での選手たちのプレーぶりをこう評価する。
「今日は改めて圧を出していこうと試合に臨みました。1失点目のところは警戒していた形だったので残念ですが、90分を通して選手たちが圧を示してくれたと思います」
ここ数試合、湘南には強度が欠けていた印象があった。ボールを奪われた後の切り替えが遅く、プレスも緩慢。自陣でブロックを組んだ際も、左右に振られると守備者がボールウォッチャーになり、簡単にスペースを空けてしまう場面も散見した。
実際、リーグ戦の直近3試合は28節・ガンバ大阪戦(4-5)で5失点、29節・鹿島アントラーズ戦(0-3)で3失点、30節・名古屋グランパス戦(0-3)で3失点と守備の問題は結果に表われていた。
ただ、川崎戦での湘南には“圧”があった。目の前の相手に食らいつき、絶対に負けない。そんな熱量を選手たちから感じられた。
守備の改善の背景には、名古屋戦後の選手のみでのミーティングと、その後の監督・スタッフとの意見のすり合わせがあったと、主将の鈴木章斗が明かしてくれた。
「名古屋戦の翌日に選手たちでミーティングをしたなかで、今の自分たちには何が足りないのかが明確になった。選手だけで話し合って固まった意見を監督やスタッフとすり合わせる時間もあって、その日の練習から、プレスや球際、切り替えの重要性や縦への意識を改めて強く持ってできました。
最近は戦術が先に来て、選手個々で迷う部分も正直あったと思う。でも今日は吹っ切れたというか、考えすぎずに自分たちのコンセプトを出せたし、やるべきことだけをやる、という気持ちで戦えた。気づくのが遅いかもしれないけど、これをやり続けるだけです」
他の選手も手応えを口にしている。
「今まで俺らがやってきたことを見つめ直す、言い話し合いができた。チームがひとつになって試合に臨めたのかなと。前の戦い方に戻ったというか、改めて今日のような形でトライしていこうというなかで、負けましたけど、この戦いを続けていこうというポジティブな気持ちで次に向かえるかなと思います」(鈴木雄斗)
「元々チームとして明確に提示されている部分があった。たとえば攻撃で言えば前向きを作って準備してアクションを起こす、守備なら奪われたらすぐにダイレクトプレスに行くことや、コンパクトにして全員で守る部分。ただ、最近は戦術的な部分が先に来ていると感じる選手もいて。そうじゃなくて、やれることをやろうよと。みんなで話し合って決めて、今日の試合に臨みました」(舘幸希)
改めて、湘南は何を大事にすべきなのか。最も強調すべき部分はどこなのか。ビルドアップの質や敵陣での崩しなど様々なものに着手してきたなかで、最後に辿り着いたのは守備で“圧”をかけることだった。
鈴木章の「遅いかもしれない」との言葉通り、もう少し早く改善できていれば、とも感じるが、今季はまだ7試合ある。ミーティングと川崎戦を経て、今後、改めてチームがひとつになって戦えるなら、J1残留も見えてくるはずだ。
湘南は最後まで前を向き、原点回帰で強度高く戦う構えだ。
取材・文●岩澤凪冴(サッカーダイジェスト編集部)
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