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〈年に一度の“ものまね最強決戦”〉高市早苗ものまねが炎上する“空前のコンプラ時代”に…次世代歌姫やSNS新星も参戦のガチバトルが面白い理由

〈年に一度の“ものまね最強決戦”〉高市早苗ものまねが炎上する“空前のコンプラ時代”に…次世代歌姫やSNS新星も参戦のガチバトルが面白い理由

年に一度のものまねの祭典「ものまね王座決定戦」(フジテレビ系)が12月6日21時から放送される。ものまね芸人たちが1年間磨いた技術と個性がぶつかる真の実力勝負。往年のブームの名残を感じつつも、歌まねとしゃべりものまねの両輪が競う令和の戦いは、SNS世代の新星たちも加わり、新たなドラマが生まれようとしている。

「ものまね四天王」誕生からフジvs日テレ“ものまね戦争”勃発まで

ものまねブームに火がついたのは、1987年に放送された『第2回 爆笑!スターものまね王座決定戦』だ。いわゆる“ものまねブーム”とは、コロッケ、清水アキラ、栗田貫一、ビジーフォーによる「四天王」ブームのことを指す。

1973年にはじまった前身番組の『オールスターものまね王座決定戦』(フジテレビ系)は、森昌子や五木ひろしといった新人歌手が中心の“かくし芸番組”的な要素が強い企画だった。

そこに、お笑いに特化した『爆笑!スターものまね王座決定戦』(フジテレビ系)が1985年にスタートする。名物プロデューサーの木村忠寛が就任した1987年春の第2回大会でコロッケが初優勝を飾り、ここから本格的なものまねブームの火が灯る。

それまで『オールスターものまね王座決定戦』にも出演していたコロッケが、悲願の初優勝を果たして涙を流す姿は、お茶の間に強烈なインパクトを与えた(もっとも、コロッケはわりとよく泣く)。

同年秋に行なわれた第3回『爆笑!スター』では、それまで珍しく下ネタを抑え、真面目にものまねと向き合ってきた清水アキラが王座に就く。「100万円の賞金よりも『チャンピオン』の名前がほしい」と語った清水は、決勝戦でV2を狙うコロッケとの五木ひろし対決を制した。

苦節8年の下積みを経て、芸人仲間に胴上げされながら涙ぐむ清水(そしてコロッケももらい泣きする)の姿には、ものまねに賭けた情熱と大きなドラマがあった。

以降、清水アキラのテープ芸、栗田貫一の「もしも○○が××を歌ったら」シリーズなど、ものまねの見せ方を出演者・スタッフが切磋琢磨し、視聴率は30%超えを連発。漫才ブームの次に現れた新しいお笑いのジャンルとして、ものまねは一気に脚光を浴びた。

ただし、ブームは意外なほど短かかった。番組プロデューサーとの対立が発端となり、コロッケは1992年3月31日放送の『第11回 爆笑!スター』を最後に、フジテレビのものまね番組から降板(2024年10月19日放送の『とんねるずの2億4千万の大陸スペシャル』(フジテレビ系)で、実に32年ぶりの“出戻り”出演を果たした)し、『ものまねバトル』(日本テレビ系)に移籍。

これを機に、ものまね番組はフジテレビと日本テレビの二局が完全なライバル関係になっていく。

ものまね芸人の哲学がぶつかる年1回の“ガチバトル”へ

日本テレビ側はコージー冨田、原口あきまさらが牽引して「しゃべりものまね」のブームをつくる一方で、四天王以降のフジテレビのものまね番組からはビジーフォーが卒業し、残留した清水アキラ、栗田貫一のほか、星奈々、布施辰徳、そして山口智充(ぐっさん)らが屋台骨を支えた。結果的に、フジのものまねは歌まねへと比重が傾いていったと言えるだろう。

実は、『ものまね王座決定戦』は2000年に一度打ち切りとなり、『爆笑そっくりものまね紅白歌合戦スペシャル』に吸収されている。その後、2012年から再び『ものまね王座決定戦』が復活し、現在のように“ガチバトル”として年末に年1回放送されるスタイルが定着した。

復活後は、ミラクルひかる、ビューティーこくぶ、エハラマサヒロらが活躍し、2014年末の『ものまね王座決定戦』には、コージー冨田や原口あきまさら日テレ系でおなじみの顔ぶれも特別出演し、長く続いた“局の壁”が緩んでいった。

雪解け後の流れを象徴するのが、2020年の松浦航大、2021年の荒牧陽子による“初出場優勝”だ。SNSでものまね動画が話題になっていた松浦航大、そして日テレ系ものまね番組を主戦場に圧倒的な歌唱力を誇った荒牧陽子の優勝は、ある意味で“黒船来襲”的なドラマがあった。

ボイストレーニングで喉仏の位置を調整したり、高音域も自在に操る彼らのパフォーマンスは、従来のものまね芸とは違った競技をしていると言えるレベルにまで達している。

番組名に「爆笑!」の文字が入っていることからもわかるように、かつては笑いが優位なものまねの時代があった。だからこそ、淡谷のり子から清水アキラへの「やればできるじゃない」というのやり取りが活きたのだろう。

しかし、テレビはいま空前のコンプラ時代。キンタロー。による高市早苗首相のものまねが炎上したように、過剰にパロディ化するネタは扱いが難しく、しばらくは歌まねの勢いは続いていきそうだ。

では、そんな現状を踏まえて、どのようなスタンスで、ものまね王座を視聴するとより楽しめるだろうか。近年、ものまね芸人が単独ライブを行なう機会が増し、それぞれが「自分のものまね観」と向き合う時間も増えたように思う。

ゆえに、年に一度の『ものまね王座決定戦』は、ものまね芸人たちが1年間で磨き上げてきた己のものまね哲学をぶつけ合う場所だといえる。

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