F1アブダビGPの初日を終えたあと、レッドブルのモータースポーツアドバイザーを務めるヘルムート・マルコは、タイトルを争うランド・ノリス(マクラーレン)に対する劣勢を認めた。
今季最終戦のアブダビGPにはノリスがランキング首位、レッドブルのマックス・フェルスタッペンが12ポイント差のランキング2番手で臨んでいる。
フェルスタッペンが逆転する可能性は残されているが、アブダビGP初日はFP1とFP2でノリスが最速。フェルスタッペンはともに2番手タイムをマークしたが、FP2では0.363秒差をつけられるなど、ノリス相手に少し後れを取っている。
このままノリスが好調にポールポジションを獲得しスタートで首位に立てば、レッドブルとフェルスタッペンは逆転のためにマクラーレンが自滅してくれることを願うしか無くなってしまう。
マクラーレンがミスすること、それ自体はありえないことではない。しかしマルコは、今シーズン3度目のミスを相手に期待するわけにはいかないと語る。
「我々は運が良かったのだろうが、3回も相手のミスに頼るわけにはいかない」
「我々は自分たちの力で戦わなければならないんだ」
現在はレッドブルにとって難しい状況に見える。しかし彼らが一夜にしてマシンを好転させてきた前例を考えれば、現状を変えることは不可能ではないはずだ。
マルコはFP2でタイム差が大きくなった理由を「期待した効果を生まなかったセットアップ変更」にあるとしつつ、フェルスタッペンはこれまでにもっと差があるグランプリ初日も経験してきたと指摘した。
「今は第3セクターでよりタイムを失っている」と彼は述べた。
「複数の要因が絡んでいる。しかし今日は金曜日だ。そして我々はもっと悪い金曜日も経験してきた」
「フェルスタッペンは走り出してすぐに、マシンがアンダーステアだと言っていた。少しバウンシングもあった。しかしセッションはもう1度残っているし、正しい方向に進めることを願っている。0.3秒差を警戒すべきだとは言わないが、決して快適な状況ではない」
フェルスタッペンにとって助けになる可能性があるとすれば、それはメルセデスとフェラーリがもっと接近し、マクラーレンの戦略を妨害したり、ポイントを奪ったりすることだ。ただマルコはこの可能性については「どのチームも十分な速さがあるとは思わない」と述べるなど、悲観的だ。
それ以外ではタイヤ戦略がマクラーレン攻略の主な手段となってくるが、レッドブルは初日にミディアムタイヤを1セット温存した一方、マクラーレンはハードタイヤをFP2で使わずに温存している。
しかしマルコはフェルスタッペンのほうがノリスよりミディアムタイヤのデグラデーション(性能劣化)が大きかったと考えている。そしてピレリの予測では、レースはミディアムとハードでの1ストップが基本となるが、2ストップも否定されていない。いつも通り、サポートレースで十分にラバーが路面に載れば、ソフトタイヤがレースで使えるようになる可能性も残っている。
「どちらがレースに向けて優れているかは確認していく必要がある」とマルコは言う。
「しかし、(速いのは)主にノリスだ。残念ながらピアストリではない。我々としては逆のほうが良かったのだが……」

