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イタリア代表は“かなりの幸運”「これだけのチャンスを逃すわけにはいかない」欧州予選PO突破でW杯本大会はカナダ、カタール、スイスのB組【現地発コラム】

イタリア代表は“かなりの幸運”「これだけのチャンスを逃すわけにはいかない」欧州予選PO突破でW杯本大会はカナダ、カタール、スイスのB組【現地発コラム】

現地12月5日にアメリカ・ワシントンD.C.のジョン・F・ケネディ・センターで北中米ワールドカップ2026本大会の抽選会が行なわれ、出場48カ国のグループ分け(4チーム×12グループ)が確定した。※以下、カッコ内はFIFAランキング順位。

 過去2大会連続で出場を逃しているイタリア(12)は、今回もその2大会に続いて欧州予選プレーオフに回っている。そのイタリアが入っているパスAの勝者は、開催国カナダ(27)、カタール(51)、スイス(17)で構成されるグループBに入ることが決まった。

 この組み合わせ抽選で、予選プレーオフ組はすべてポット4に入っており、強豪国が名を連ねるポット1はもちろん、ポット2、ポット3からも手強い相手を引く可能性があった。「最悪の事態」を想定して危機感を煽るのが好きなイタリアメディアの間では、アルゼンチン(2)、モロッコ(11)、ノルウェー(29)と同組になる可能性も、といった報道もあった。

  それと比べれば、ポット1の中でFIFAランキングが最も低いカナダを引き当てただけでなく、ポット2のモロッコや日本(18)、ポット3のノルウェーといった難敵を避けて、比較的難易度の低いグループに入ったのは、かなりの幸運だったと言えるだろう。メディアの間からも、安堵の声が上がっている。

「ポット4であることを考えれば、これ以上は要求できない最良の組み合わせ」(ファビオ・リーカリ記者/ガゼッタ・デッロ・スポルト)

「プレーオフを勝ち上がる意欲をさらに高めてくれる組み合わせ」(マルコ・ノゾッティ記者/スカイ・スポルト)

「イタリア、何というチャンス」(ガゼッタ・デッロ・スポルト/12月6日付1面見出し)

「抽選会はイタリアにウインク」(トゥットスポルトweb見出し)

 もちろん、すべてのコメントや記事には「まずはプレーオフを勝ち上がるのが先」という「但し書き」がついていることは言うまでもない。そのプレーオフは、3月26日にベルガモで北アイルランド(69)と準決勝、勝ち上がった場合は3月31日にウェールズ(32)対ボスニア・ヘルツェゴビナ(71)の勝者とアウェーで決勝を戦うことが決まっている。

 確かなのは、この欧州予選プレーオフパスAの勝者が、プレーオフ組の中で最も「幸運な」巡り合わせを引いたこと。何よりもポット1の強豪国を避けられたことが大きい。ポット2のスイス(17)は、イタリアにとっては前回の2022年W杯予選でグループ首位の座を奪われ、EURO2024でも痛い目(決勝トーナメント1回戦で0-2で敗戦)に遭わされた「鬼門」のようなチーム。しかしそれでも、クロアチア(10)、モロッコといった、FIFAランキングがさらに上位の相手を避けられただけで、十分にポジティブだ。

  同じ欧州プレーオフ組でも、トルコ(25)が勝ち上がり濃厚なパスC(トルコ、ルーマニア、スロバキア、コソボ)は、開催国アメリカ(14)、オーストラリア(26)、パラグアイ(39)と同居するグループD、デンマーク(21)が勝ち上がる可能性が高いパスD(デンマーク、北マケドニア、チェコ、アイルランド)は、開催国メキシコ(15)、韓国(22)、南アフリカ(61)が入ったグループAにそれぞれ割り振られている。

 この2つは、イタリアが入ったパスAと同様、ポット1で強豪国ではなく開催国を引いたという点で、比較的幸運だったと言うことができる。最も不運だったのは、ほかでもない日本と同組になったパスBだろう。ウクライナ、スウェーデン、ポーランド、アルバニアで構成されたこのパスは、欧州予選プレーオフ最大の激戦区。そこを勝ち上がっても、今度は本大会でFIFAランキング一桁のオランダ(7)、ポット2で最も嫌がられていた国のひとつである日本、そしてポット3では中堅レベルのチュニジア(40)と戦わなければならない。

 ちなみに日本が入ったこのグループFについては、明らかに格が落ちるFIFAランキング50位以下の国がひとつも入っていないだけでなく、20位以内が2つ入っているという点で、12グループ中最も力の均衡した難しいグループだという評価も出ている。

 さらに、もしグループを1位あるいは2位で勝ち上がっても、続くラウンド・オブ32の相手がグループCの1位か2位のどちらか(ブラジル、モロッコが濃厚)という、なかなか厳しい巡り合わせになっている。12グループあるうち、1~2位のチームがラウンド・オブ32で他グループの1~2位とたすき掛けで対戦するのはC、F、H、Jの4グループのみ。それ以外の8グループは、1位が他グループの3位チーム、2位は他グループの2位チームとの対戦となっている。

  イタリアが入ったパスA勝者を含むグループBもそちら側。1位で勝ち上がった場合はグループE、F、G、I、Jいずれかの3位と、2位抜けの場合はグループAの2位(メキシコ、デンマークのいずれかになる可能性が高い)と、ラウンド・オブ32で対戦することになる。これも巡り合わせとしては、日本と比較するとそれほど悪いとは言えない。

 とはいえもちろん、これらすべての議論は、イタリアが欧州予選プレーオフを勝ち上がるまでは、文字通り「取らぬ狸の皮算用」に過ぎない。そのプレーオフの組み合わせも、イタリアにとってはかなり幸運なものだったわけだが、過去2大会続けてプレーオフで格下のチームに敗退を喫している「実績」は、たとえどれだけ「くじ運」に恵まれても、決して楽観を許さないものだ。

 このW杯抽選会を経たイタリア国内の論調が「これだけのチャンスを逃すわけにはいかない、そのためにもまず今はプレーオフに集中すべき」という一点に収斂しているのも、当然といえば当然だろう。

文●片野道郎

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配信元: THE DIGEST

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