海外旅行の際、最短時間で目的地と結ぶ直行便のエアラインに比べ、経由地で乗り継ぎが必要な行程は、どうしても敬遠されがちに。ところが、これを逆手にとった航空会社がある。乗り継ぎ客の利用促進を図るため、無料でホテルを用意する太っ腹なサービスを実施するエアラインだ。
とりわけサービスが手厚いことで知られるのが、トルコのターキッシュエアラインズ。出発地が日本を含む特定の国や地域の場合、乗り継ぎ時間が20時間以上という条件はつくが、往路か復路のどちらか1回、エコノミークラスの利用客はイスタンブール市内の4つ星ホテルに2泊、ビジネスクラスなら3つ星またはブティックホテルに2泊することができる。いずれのクラスでも、ホテルは朝食付き。つまりこのサービスをうまく利用すれば、最終目的地との周遊旅行が可能というわけだ。
ただし、同様のサービスを実施している多くの航空会社では、滞在時間を延ばすためにあえて搭乗可能な次の便を予約しなかった場合には適用されないことが多い。利用条件を公式サイトからの予約、ビジネスクラス以上に定めているところもあり、乗り継ぎ時間は利用クラスに応じて6時間以上、もしくは8時間以上など、細かいルールを設けている。
それでも中国国際航空や中国東方航空、中国南方航空、厦門航空など中国の航空会社、そしてカタール航空にエミレーツ航空、ガルフエア、オマーン航空、ロイヤルヨルダン航空など中東の航空会社、さらにスリランカ航空やエジプト航空、エチオピア航空、ロイヤル・エア・モロッコでも実施。ただし日本をはじめ、東南アジアや欧米圏の航空会社ではほとんど見かけないサービスであることを認識しておこう。
筆者は以前、ヨーロッパからカイロ乗り継ぎのエジプト航空エコノミーでドバイに向かう際、このサービスを利用。宿泊先はカイロ国際空港近くのプール付き高級ホテルで、食事はなんと到着後と翌朝の2食付き。たまたまいいホテルに当たっただけかもしれないが、部屋の浴室はバスタブ付きだった。深夜到着、翌朝チェックアウトの短い滞在ながら、疲れを癒やすことができた。
なお、利用方法については航空各社で事前申請が必要、あるいは当日の到着後に専用カウンターに行けばOK、などと異なる。時間はかかるがベッドで眠ることができ、ちょっとでも観光できる可能性があるのは魅力的だ。日程的な都合が許せば、あえて経由地に泊まることを考えていいかもしれない。
(高島昌俊)

