おかっぱ頭と制服姿で踊るダンスチーム・アバンギャルディ。究極のシンクロ率を誇る並外れたスキルと独特の世界観は、アメリカNBCのオーディション番組『アメリカズ・ゴット・タレント』の決勝進出をきっかけに一気に注目を集めた。さらにNHK紅白歌合戦や大阪・関西万博開会式など、数々の大舞台に登場し、瞬く間にメジャーシーンへと駆け上がっている。
だが、そのビジュアルも相まって、いまだ“謎の集団”という印象も強い。彼女たちは何者なのか。自主公演ではMCを担当するメンバーのnaganoとsonoに話を聞いた。
結成は「ノープラン」から始まった
――アバンギャルディは、全国大会でも常に上位に入る日本屈指の強豪である登美丘高校ダンス部のコーチだったakaneがプロデュースしたダンスチームだそうですね。結成のきっかけは?
nagano ダンスNo.1を決めるテレビ番組『THE DANCE DAY』に出るために、akaneさんのダンスカンパニーのメンバーから選抜したのが始まりです。当時はチーム名もなくて、急きょ「アバンギャルディでどう?」と決まった(笑)。
sono 番組に出るだけのつもりがSNSの反応がすごくて、チームとして活動を続けることになりました。最初の“ノープラン”でここまで来ました。
――お二人も登美丘高校ダンス部の出身者だとか……。
nagano はい。私が1年生のときにちょうど「バブリーダンス ※」をやっていて、先輩たちのすごい姿を見て育ちました。sonoは私の1個下で、元後輩になります。
※1980年代のバブル期をテーマにしたダンスで、派手な衣装や力強いステップをコミカルに表現した作品。登美丘高校ダンス部が全国的な注目を集めるきっかけとなった。
sono 私は中学生のときにバブリーダンスを見てakaneさんに憧れ、登美丘高校に入りました。卒業後はakaneさんのダンスカンパニーに所属し、その流れでアバンギャルディのメンバーに選抜されました。
空手と科学、それぞれの異色のルーツ
――高校に入る前からダンスをやっていたんですか?
sono 私はずっと空手をやっていました。全国大会優勝経験もあります。体幹の強さはそのおかげですね。
nagano 私は運動をやっておらず、科学部出身ですね。電気パン(パン種に直接電流を通すことで焼き上がるパン)とか作っていました(笑)。
――おかっぱ頭&制服スタイルもakaneさんの案だそうですが、最初に聞いたときの印象は?
nagano 戸惑いました(笑)。まず、おかっぱスタイルが似合うか不安だったし、制服で踊るという発想もいまいちピンとこなくて。
sono 全員で並んだときは「不気味で異様やな」と思いました(笑)。
nagano でも、いざ踊ってみると、この奇抜さが逆にいいぞ、って。
sono この格好で同じ動きをすると集団としての一体感が生まれ、唯一無二の作品が完成する。akaneさんはここまで計算していたんやなぁ、と思いました。実は、おかっぱ頭は全員同じように見えるかもしれませんが、1人1人微妙にカツラの長さやカットが違うんですよ。
nagano それぞれおでこの広さが違うので、前髪の長さも変えています。
sono 制服もスカートの長さなどをミリ単位で調整して、全員が並んだときにきれいなラインになるようにしています。しかもパフォーマンスでは、スカートの広がり具合や頭を振ったときの髪の毛の方向まで全部そろえないといけない。結成当初はそれが大変で、試行錯誤の日々でした。

