あの上靴は唯一の例外
――そんな細かい計算が……。では上靴(上履き)もオーダーメイド?
sono いえ、上靴は某大手サイトで購入したものです(笑)。しかも踊る用ではなく、普通の学校の上靴です。
――制服はミリ単位でこだわっているのに?
sono これが軽くて動きやすいんです。ソールが薄いので床を感じられるし、上靴だから滑り止めもあって、一番いいんですよ。
nagano 練習もこれでやるので、3年間で30足くらい履き替えていますね。
――練習はどれくらい?
sono 多い日で10時間以上やっています。
nagano 自分たちの強みを出せるのは圧倒的な練習量だと思うので、鏡の前で1個1個の形を確認しながら「こっちが上、こっちが下」というふうに、ミリ単位の修正を積み重ねて体に馴染ませていきます。完成した作品でも常にブラッシュアップしています。
sono メンバーは身長や手足の長さも違うので、それぞれの加減で調整しないといけない。そのためには、妥協せず意見を出し合い、17人の意識をそろえることが大事なんです。
――でも17人もいたらケンカになるとか、気が緩むメンバーも出るのでは?
sono 意見がぶつかることはあっても、目指すところは同じなのでケンカにはなりません。
「奇妙」「不気味」は最大級の賛辞
――結成3年でここまで大躍進を遂げたのは、17人の努力の賜物だと思います。特に印象に残っているパフォーマンスは?
sono やっぱり(アメリカNBCのオーディション番組)『アメリカズ・ゴット・タレント』です。日本の歌謡曲で踊るので、海外のお客さんに歌詞もダンスも伝わるのか不安でした。実際、踊る前は「この子たち、なんなんやろ?」という雰囲気だったんですが、踊り出した瞬間にみんなの目の色が変わって、最後はスタンディングオベーションをもらえた。その瞬間、ダンスは言語を超えると感じました。SNSのコメントやフォロワーも増えましたね。
nagano 「奇妙」や「不気味」という感想も多かったですが、それは私たちにとってほめ言葉なのでうれしかったです。「なんやねん、この子ら?」という最初の視線が、一番おいしい。違和感って、興味の入口なんです。
あと私は国内外でやったワンマンライブも印象深いです。発足当初はこのチームでライブができるなんて夢にも思っていなかったので、すべてのライブが私の宝物です。
――ステージでのハプニングは?
nagano・sono あります、 あります(笑)。
nagano フォーメーションが緻密なので、少しズレると(他のメンバーの)肘がみぞおちに刺さったりします(笑)。
sono 早着替えが間に合わないこともありました。
nagano ハプニングではないですが、真顔をキープするため口を閉じて踊る訓練をずっとしていて。鼻呼吸なので、写真では鼻の穴が広がっていることが多いです(笑)。

