F1最終戦アブダビGPは、チャンピオンを争うドライバー3人がトップ3からスタートし、タイトルをかけた熱い戦いが繰り広げられることが予想される。
ポールシッターはランキング2番手のマックス・フェルスタッペン(レッドブル)で、12ポイントのリードを持つポイントリーダー、ランド・ノリス(マクラーレン)が2番グリッド。そのノリスから16ポイントのビハインドとなっているランキング3番手のオスカー・ピアストリ(マクラーレン)が3番手となっている。
タイトルコンテンダーが3人とも予選で結果を出してきたのはさすがであり、だからこそタイトルを争っているのだとも言えるが、最も有利な立場なのはノリスだ。彼は表彰台圏内から落ちなければ、ライバルの結果を気にせずに戴冠を決められる。
しかし安心できる差があるわけではない。誰かが表彰台争いに割り込み、ノリスが表彰台圏外に落ちるようなことがあれば、一気に状況は分からなくなる。
最もその役割を演じる可能性が高いのは、4番グリッドにつくジョージ・ラッセル(メルセデス)だ。ラッセルは、5連覇を達成するためにフェルスタッペンがあらゆる助けを必要としていることをよく理解している。そのため予選Q3では、フェルスタッペンがスリップストリームを使わせてくれるはずだと彼に迫っていたほどだ。
ラッセルは今季、非常に印象的な活躍を見せており、カナダGPとシンガポールGPで勝利を収め、メルセデスのマシン性能を最大限に引き出していると言える。
そんな彼はアブダビGPで今季3勝目をマークするチャンスがあるかもしれないとすら考えている。
「他のレースと気分は同じだ」とラッセルはスカイスポーツF1に語った。
「もちろん、この3人に何が懸かっているかは分かっているが、普通のレースと同じように考えなければならない。通常の状況であればペースを落とす必要はないと思うけど、もし1周目がスタート順通りに終わったら、マックスがそのまま夕日に向かって走り去る姿は想像できない」
たとえトップ3のうちひとりのチャンピオンシップを終わらせることになったとしても、ラッセルがグラウンドエフェクト時代を最高の形で終わらせるために全力を尽くすのは当然のことだろう。
「これがシーズン最初のレースだったら無謀なことをしようとは思わないだろうが、もしチャンスがあってギャップがあるのなら、チャンスを逃すつもりはない」とラッセルは付け加えた。
「表彰台に上がりたい。シーズンを最高の形で終えたい。正直に言うと、誰がチャンピオンシップを制しても、寝心地は良くも悪くもならない。だから、自分のやりたいことをやって、そこから進んでいくつもりだ」
5番グリッドからスタートするのはシャルル・ルクレール(フェラーリ)だが、アブダビGPではフェラーリが苦戦しているため、チャンピオンシップ争いに影響を与える可能性は低いだろう。チームメイトのルイス・ハミルトンがQ1で敗退したことを考えると、彼が上位からスタートするのは驚きだが、彼はマシンがとても不安定だとコメントしているからだ。
「そういう状況に陥るのはかなりストレスがたまるから、すべてのシナリオを知りたいとも思わない。明日のレースではそんなシナリオは何も考えていない」
ルクレールはそう語った。
「頭の中にあるのは、自分のパフォーマンスとフェラーリの結果をいかに最大化するかということだけだ。もしそれが、相手がリードしているその瞬間にあらゆる手を尽くして相手のペースを落とそうとすることを意味するなら、僕はそうする」
「もしそれが戦略上、彼らと戦わないことを意味するのであれば、僕は彼らと戦わないし、チャンピオンシップのタイトルのことなど頭にない。どちらか一方を優遇するためにここにいるのは僕の仕事ではないからだ」
6番グリッドのフェルナンド・アロンソ(アストンマーティン)は、ルクレールよりもタイトル争いに関心を持っているものの、ニュースの見出しを飾るようなことはしたくないと主張している。
決勝レースで存在感を示したいかと問われると、「特にないね」と答えた。
「タイトル争いからはできるだけ遠ざかりたい。まあ、ポイントを取りたいから遠すぎるのは嫌だけどね。でも、月曜日のニュースにはなりたくないね!」
アストンマーティンは激しい中団争いの中におり、ランキングは7番手。同6番手のレーシングブルズには12ポイント差、同8番手のハースとは7ポイント差があることを考えると、アロンソとしても結果を残す必要があるものの、コース脇のスクリーンでタイトル争いを楽しもうとしているようだ。
各ドライバーの心境を見るに、もっともタイトル争いをかき乱してくれそうなのはラッセルだが、まずはスタート直後の1コーナーを、どんな順番でマシンが通過するか注目だ。

