帰省する人々や観光客で空港が賑わう年末。そんな空港付近で混雑するタクシー乗り場を狙ったのが、いわゆる「白タク」(無許可タクシー)だ。国土交通省は「無許可の有償運送は道路運送法違反」と警告し、各自治体は年末年始に向けて注意喚起を強めている。
白タクは一般車をタクシー風に偽装し、空港ロビーや駐車場で客に声をかける。黒塗りワンボックスや高級セダンで「すぐ乗れる」「正規タクシーより安い」と誘導するが、実際にはメーターも料金表もなく、目的地へ到着後に法外な金額を請求するケースが全国で確認されている。近年はスマホを掲げて配車アプリの迎車を装う巧妙な手口が報告され、疲れや焦りで判断力が鈍った利用者が狙われやすい。
報道されている逮捕例は主に外国人観光客がターゲットだが、実は日本人帰省客も無視できない。年末の空港では荷物を持ち疲れ、列や渋滞で公共交通の利用に時間がかかるため、うっかり声をかけられるリスクが高まる。警察や国交省は日本人向けに「白タクに乗らないように」と啓発を行っている。
白タクが危険な理由は料金トラブルだけでなく、安全面の不備にもある。正規タクシーは運転手資格、車両点検、保険加入が義務付けられているが、白タクにはそれらがなく、事故やトラブルで補償が受けられないケースが出てくる。
年末の帰省で安全に空港から帰るためには、路上で声をかけてくる車には絶対に乗らないことが鉄則となる。正規タクシーかどうかは行灯や緑ナンバーを確認し、配車アプリを利用する場合も車両ナンバーと運転手情報を必ず照合すること。長い列があっても、公式の乗り場を利用するのだ。
年末の慌ただしい空港では外国人だけでなく、日本人も白タクのターゲットになりうる。高額請求や事故リスクに巻き込まれないよう、事前確認と冷静な判断で安全に帰省したい。
(カワノアユミ)

