最新エンタメ情報が満載! Merkystyle マーキースタイル
『ばけばけ』11週予告でヘブンが「アイラブユー」と言ってた女性は? 4話で「拳銃自殺未遂」してた場面と関連してるかも

『ばけばけ』11週予告でヘブンが「アイラブユー」と言ってた女性は? 4話で「拳銃自殺未遂」してた場面と関連してるかも


『連続テレビ小説 ばけばけ Part1 NHKドラマ・ガイド』(NHK出版)

【画像】え…っ! 夫婦で立って並ぶと「なんか小っちゃくてかわいい」 コチラが小泉八雲さん(ギリシャ人)と小泉セツさん(日本人)の身長差です

ヘブンの大切な人?

 2025年後期のNHK連続テレビ小説『ばけばけ』は1890年に来日し、『怪談』『知られぬ日本の面影』などの名作文学を残した小泉八雲さん(パトリック・ラフカディオ・ハーン)と、彼を支え、再話文学のもととなる数々の怪談を語った妻の小泉セツさんの生涯をモデルにした物語です。

 第50話の最後に流れた第11週「ガンバレ、オジョウサマ。」では、主人公「松野トキ(演:高石あかり)」の未来の夫「レフカダ・ヘブン」が、洋風の家で褐色の女性と乾杯し、「アイラブユー」と告げている場面が流れました。いったい彼女は何者なのでしょうか。

※ここから先の記事では『ばけばけ』のネタバレに触れています。

『ばけばけ』公式サイトにある11週のあらすじを見ると、第54話でヘブンが同僚「錦織友一(演:吉沢亮)」や、自分に想いを寄せる県知事の令嬢「江藤リヨ(演:北香那)」に、「かつてある女性と結婚していた」ときの「過ち」を語るそうです。

 ヘブンのモデルであるラフカディオ・ハーンさんも、1870年代半ばに最初の結婚をするも、失敗に終わっています。『ばけばけ』第1週4話で描かれたヘブンが拳銃自殺を試みる場面は1875年頃と思われるので、ハーンさんのように結婚がうまくいかず絶望して死のうとしていた時期だったのかもしれません。

 1869年、19歳で渡米したハーンさんは、1872年頃からオハイオ州のシンシナティ・インクワイアラー社という新聞社の記者となり、1874年には正社員に採用されます。そして、彼は1872年頃に下宿先で出会っていた、アリシア・フォリーさん(愛称:マティ、当時18歳)という子連れの女性と1874年6月に結婚しました。

 マティさんは白人農園主と黒人奴隷の混血の女性で、下宿先でハーンさんが重い病気にかかったとき、献身的に看病してくれたことが結婚のきっかけになったそうです。マティさんは自分がかつて見たという「幽霊」の話をするのが得意で、ハーンさんに何度も語ったと言います。

 そして、ハーンさんは1874年の6月、マティさんと結婚しましたが、それは白人と黒人の婚姻を禁じるオハイオ州の法律を破った違法な婚姻でした。周囲への彼らへの風当たりは強く、ハーンさんは職場で立場が悪くなり、アパートを借りるにも苦労したそうです。

 さらに、ライバル新聞社に結婚を批判する記事まで書かれたハーンさんは、インクワイアラー社にいられなくなり、1875年に給料の低いコマーシャル社に転職することになりました。

 また、マティさんとの関係もどんどん悪化していったそうで、書籍を参照すると「彼女は忽ち増長して厚かましくなり気取り屋となった」(評伝『小泉八雲 ラフカディオ・ヘルン』引用)、「(マティは)同棲生活の間に、日頃にプラウドになり、我儘が募り、不躾に金品をのみ強要するに至った」(ハーンさんの長男・小泉一雄さんの著書『父小泉八雲』引用)などと、彼女がハーンさんを困らせるようになっていったことが語られています。

 そして、ハーンさんはマティさんと別れて1877年10月にシンシナティを去り、ニューオーリーンズに移住しました。

 シンシナティに残ったマティさんは、靴職人のクラインタンクという男性と再婚し、彼が死ぬまで20年以上連れ添います。さらに、マティさんが14歳のときに産んだ息子のウイリーさんは、黒人社会のリーダー的立場となってさまざまな人びとを助けた立派な人物で、マティさんは晩年は息子夫婦に引き取られて穏やかにすごしたそうです。

 一方のハーンさんは十数年後に遠い異国日本で、同じく離婚経験のある小泉セツさんと夫婦になり、日本に帰化して1904年に亡くなるまで暮らしました。

 11週の予告に出てきた褐色の女性は、マティさんをモデルにしたキャラクターだと思わます。朝ドラで描くには重いエピソードですが、どこまで史実に即して語られるのでしょうか。

※高石あかりさんの「高」は正式には「はしごだか」

参考書籍:『八雲の妻 小泉セツの生涯』(潮出版社)、『小泉八雲 ラフカディオ・ヘルン』(中央公論新社)、『小泉八雲 漂泊の作家 ラフカディオ・ハーンの生涯』(毎日新聞出版)、『父小泉八雲』(小山書店)

配信元: マグミクス

あなたにおすすめ