元プロ野球選手の「登板」が、秘かに球界の話題となっている。ボートレーサーの野田昇吾が12月6日、プロ野球引退選手のセレモニーを兼ねた「ザ・ラストゲーム:EAST HOPES6-4WEST DREAMS」(北九州市民球場)に登場。ボートレーサーの登録番号5259のユニフォーム姿でEAST HOPESの3番手投手として登板した。味方のエラーで3失点したが、元プロ野球選手らしさは随所に見せた。
野田が注目を浴びるのは、プロ野球選手としては異例中の異例の転身を果たしたからだ。元西武ドラフト3位だった野田は身長166センチ、71キロと小柄だったが、ボートレーサー試験を受けるには大きすぎるハンデがあった。スポーツ紙ボートレース担当記者が言う。
「ボートレーサーになるには、男子の場合は体重49キロから57キロが受験資格なんです。ボートレーサーは体重が軽い方が有利ですからね。野田は2020年に野球を引退してから、大幅に減量して受験し、合格した。すごいセカンドキャリアなんですよ」
「ボートレース業界は話題作りも兼ねて、以前から他のプロスポーツ選手の受け皿になろうと動いていました。Jリーグ選手会に接触していたこともありますしね」(ボートレース関係者)
プロ野球側としても、トライアウトを実施してもなかなかチームが決まらない実情がある。もし減量を成功させた野田のような選手が増えれば、今後はウインウインになる可能性があるのだ。
「プロ野球選手になっても、大成功するのはひと握り。かといって、引退して成功している例もあまり多くなく、苦労している人は多い。そういう意味では今回の件は、大ヒット企画だと思いますよ」(スポーツ紙デスク)
プロ野球の世界も、多様性を受け入れる時がきたようだ。
(阿部勝彦)

