日本ハムファイターズは松本剛の巨人へのFA移籍に対し、人的補償で左のリリーバーに興味を示しているという。これにパ・リーグ各球団、イースタン・リーグの球団から出たのは「本当に左投手不足か」の声だった。
「阪神との交換トレードで、リリーフ左腕の島本浩也を獲りました。左のリリーバーが不足しているとのことで、日本ハム側から話を持ちかけたようです」(スポーツ紙記者)
このトレード成立が発表された時点で、首を傾げる声が聞かれた。というのも、日本ハムはその前に、育成左腕の北浦竜次に自由契約を言い渡しているからだ。
今季ファームでの北浦の好投はイースタン・リーグ各球団の首脳陣が認めており、いち早く獲得に動いたのが阿部巨人だった。
「自由契約になった他球団選手で巨人が獲得したのは、北浦と前ソフトバンクの板東湧梧という2人の投手。育成選手だった北浦とは支配下で契約し、支配下選手だった板東は育成での巨人入りとなりました」(前出・スポーツ紙記者)
ファーム首脳陣が北浦を買っていたのは間違いないようだ。
奇しくも北浦の巨人入団会見と島本のトレード成立が発表されたのは、同じ11月14日。「北浦を使えばいいのに」というのが他球団の感想だった。12月9日に行われる現役ドラフトを指して、こんな意見がある。
「2023年の現役ドラフトで、左腕リリーバーの長谷川威展を出してしまいました。ソフトバンクに移籍した長谷川は2024年、32試合に登板してプロ初勝利を含む4勝を挙げ、リーグ優勝に貢献しています」(プロ野球中継関係者)
日本ハムは今季クライマックスシリーズに、左腕リリーバーの宮西尚生を「帯同」させている。出場登録からは外れたものの、ブルペン陣の精神的支柱役を託されたのだ。900登板を経験し、史上初の400ホールドを達成したベテランの存在は間違いなく、日本ハム投手陣を勇気付けた。
新庄剛志監督は「スペシャルウルトラダイナミック総合コーチ」と絶賛していたが、考えてみれば長年にわたってこの宮西に頼り続けてきたわけだ。
松本を得た巨人のプロテクト名簿漏れ投手や、現役ドラフトリストに「スペシャルウルトラダイナミック左腕」の後継者がいるとはなかなか思えない。今回の補強には「左腕リリーバー不足」のひと言では片付けられないウラ事情が秘められているようだ。
(飯山満/スポーツライター)

